第5話 フィールドってなんですか?

「いいかい、今から『初めてのフィールド探索実技』を開始するよ」

 

 全身筋肉でガタイが良く、身長は二メールあるであろう30代ほどの女性教師が、零護と茉森を含む二十名ほどのクラスメイトへ、威勢よく叫んでいた。


「何事も身体で覚えてから勉強するのが手っ取り早い。このフィールドは学園が管理している特殊フィールドでな。プレイヤー候補生が初めに必ず足を踏み入れる場所さ」


 軍服のような紺の服を身にまとい女教師は続ける。

 

「プレイヤーとは何か、それは土地がフィールド化する現象を戻せる唯一の存在だ。土地がフィールド化する理由は不明だが、解除する方法を知ることは可能だ。各々、指にはめたMMOデバイスを見て欲しい」


 零護は女教師に言われるまま先ほど配布され、言われるがまま指にはめた指輪を見た。


 特に装飾はなく、リングの中央から一周するように薄緑色の線がほのかに光っている。


「このMMOデバイスにAIがはじき出した、フィールド化の解除条件が表示される。それをクリアすれば任務は完了だ」


 簡単だろ、といいながら女教師はにかっと白い歯を見せた。


「人差し指を上から下に振ると、フィールド化の解除条件が、その他にも君たちが各自で登録した自己プロフィール、入学検査からAIが数値化したステータスが表示されているのが分かるだろう」


 茉森は言われるがままに指を上から下に振ると透明度五十パーセントほどのウィンドウが空中に現れて様々な情報画面が表示される。


「へえ、確かに登録したままだ——」

 

 なんとなく下に確認していくとスリーサイズのバストの欄が『七』から始まる数字が見えて、すぐにウィンドウを消した。


 あほか、なんでこれを自分のステータス画面に表示させるんだ。モンスターよりも最初に息の根を止めるぞ、デバイス製作者、と茉森は心の中で毒づいた。


 零護はばたばたしている茉森を見て、また何か慌ただしい事をしているなと思いつつ、自分のステータスを確認する。


(レベル:一 筋力:エラー 体力:エラー 速度:エラー 知能:エラー エーテル力:エラー 運:エラー……なんだ、エラーばかりじゃないか、機材の故障か?)


 零護は辺りを見渡すが不思議そうに見ている者はおらず、皆、己のステータスをじっくりと観察しているようだった。


「フィールドに突入した際、そのMMOデバイスによりプレイヤーの生存確認ができる。また中での行動はMMOデバイスに蓄積され、AIが数値化し、レベルやステータスとしてプレイヤーに成長度合いを伝えてくれる、実践データとしてぜひ活用して欲しい」


「先生、このスキルという欄は何ですか?」


 ある生徒が手を上げて女教師に質問した。


「いい質問だ。プレイヤーはフィールド内のモンスターを討伐するために、己専用の武装を使いこなす必要がある。その武装から引き出すことができるのがスキルだ。スキルには直接攻撃に繋がるものや支援、回復など様々な種類がある、各自専用スキルを使いフィールド化の解除任務に当たるのが基本だ」


「でも先生、俺たちその、武装? なんて持ってませんけど」


 これもある生徒が女教師に声を上げた。


 零護自身もそれは感じていた。


 フィールド実践授業に関わらず、武装の配布はない。言われた指令といえば、各々の『戦闘着』に着替えて参加せよということだった。


「それも良い質問だ。今日の授業に直結する。いいか、君たちプレイヤー候補生の初授業は、この『始まりのフィールド』で己の固有武装の入手だ」


 女教師の声高らかな宣言にクラス中がどよめく。


 零護の隣にいる茉森、ハッと息を飲んだ。


────────────────あとがき──────────────────

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。


初めてのラブコメなので、参考までに「★」「応援」「コメント」をいただけると、とっても嬉しいです。


いつかレビューがもらえたら嬉しいなと思いつつ、次回のお話も頑張ります。

もし少しでも気になってもらえたら、フォローもお待ちしています!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る