第二章・寄り付くもの、
MacでLogic.proを開く。何もない所からmidiを打ち込んで新しい音を生み出すのは何処か魔法に似ている。朝の教室ですることではないかもしれないが、まぁ誰も居ないから良いだろう。前に座っている新庄はこちらに見向きもしない。やはり彼女は新興宗教に入っているのだろうか?もう4月が終わろうとしているのに彼女は一言も話さない。高校一年生、花のJKが一言も話さないなんて、、って思うけど、彼女は顔が整っていて何もコンプレックスは無さそうなのに何故?
結菜はまだ来ないし、私はLogic.proにmidiを打ち込み続ける。
何分か経つと人が来始めてきたのでMacを閉じる。私は目立つのが嫌いだ。
授業が始まる。倫理の授業だ。私は結構好きなので苦ではないがみんな退屈そうだ。ユダヤ教について60代くらいのお爺さん先生がずっと語っている。結構集中しているはずが何か視線を感じる。後ろ?私は教室の中央部に座っているので全方向に注意を向けた。あぁあの吹奏楽部の眼鏡をかけたあの男子だなとすぐに分かった。自意識過剰とかじゃなくて本当に彼は私を見ていた。ただキモいなぁと思う。でも何故私を見るんだろ。
その彼は放課後私に話しかけてきた。
「ねぇ坂本!僕、料理できるんだけど今度家に遊びに来ない?」
私はうぇ〜と言いそうになった。流石に高一女子に言うべきセリフではなかろう。そして私はお前の名を知らない。
「あのぉ、大丈夫です。」
と真顔で言ってしまった。
その後、私は怖くなって音楽室へ走った。
いつも通り、小林・高田・伊藤・結菜がいた。
私たちはいつも通り曲を練習する。
シンセにMacをつなげる。作ってきた音を出す。
「めっちゃ良い音じゃん!」
高田は誉めてくれた。少し嬉しかったので思わず、微笑んだ。1時間ほど練習した後みんなで椅子に座って話し合う。
結菜が口を開く。
「あ、そうそう菜音〜。全然関係のない話なんだけどさ、今日のHR終わった後、石田に話しかけられて走って逃げてたけど何を話されたの?」
高田と伊藤が
「気になるねぇ」
とニヤニヤする。
「へ〜あいつ石田っていうんだぁ。」
というとみんな騒然として
「え?あいつを知らないの?」
と言う。
結菜が言うに、彼はウザすぎてみんなから嫌われていて歌い手とかなろう系小説とかを書いているらしい。特に自分には芸術的センスもないのに親が美大卒だからと威張っている小心者らしい。
そして私は話す
「『僕、料理できるんだけど今度家に遊びに来ない?』って言われて逃げました。」
と、その後みんな笑い転げた。
「そんなに笑わなくても良いじゃん、、」
高田は
「で?君はなんて答えたの?」
「え?大丈夫ですって。」
一同大爆笑。
「さすがっすね坂本さん。。」
伊藤も言う。
小林と結菜は
「キモい」
と言う。
「でも、笑い事じゃないんだよ!怖すぎるよ!」
と言うが、
「ハニトラでも仕掛けてやれ。」
とふざけていた。
男子ってのは、、と呆れて私は学校を後にした。
感情よ、さようなら 公乃月 @kiminotuki
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。感情よ、さようならの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます