第147話 王子ウォルターと将軍イヴォン
王国の将軍イヴォンは王都の門前でアレス王国国王のレンを出迎えた。
「レン陛下、始めましてオミラン王国将軍のイヴォンです。王城までご案内致します。しかし、あの数て王都には入れませんので、王都前で待機していただけないでしょうか」
「何匹までなら王都に入れる?」
「百人程度に抑えていただきたくお願い致します」
「分かった。送還!」
「え!」
「き、消えた」
「幻だったのか?」
オミラン王国の騎士達がざわめいた。
百匹の精鋭のコボルト兵達が残り、後は送還されていた。
「す、凄い。陛下は何人の兵達を召喚・送還出来るのですか?」
イヴォンが恐る恐るレンに尋ねるが、
「イヴォンさん、それは軍事機密です。尋ねる事は失礼に当たりますが、承知の上ですか?」
透かさずサンディがイヴォンとレンの話に割り込んだ。
「あ、すいません。余りにも見事でしたので………」
その後、案内の騎士達と百匹のコボルト兵の精鋭が王城まで行進した。
オミランの騎士達との余りにも練度が違い過ぎるコボルト兵の一糸乱れぬ行進は、王都の民達の目にうつり、その凛々しさと可愛いらしさは注目された。
「あのぬいぐるみみたいな種族は何かしら」
「ルル様が連れていた種族と一緒だわ」
「アレス王国には沢山いるのかしら?」
「きゃあ! 可愛い」
「凛々しいわ」
「素敵!」
コボルト兵の可愛いらしさに熱狂する王都の民の女達。
そして、アレス王国の国王レン……。の横に立つヴァイシュラも注目の的だった。
「ルル様も美しかったが、ヴァイシュラ様はまた違う美しさだな」
「綺麗だ……」
「なんと美しい立ち姿だ………」
「ああ………」
ヴァイシュラの美しさに見惚れて、声をなくす王都の男達。
その中をコボルト兵達は無言で、完璧に揃った行進を続けて王城に入った。
「ようこそ! オミラン王国王城へ。オミラン王国王子ウォルターです」
王城で出迎えた王子。
「陛下! ご無沙汰しております」
「わんわん」(マスター♪ワン)
「わんわん」(久しぶりだワン)
リリスの妹ルル、そして護衛のヨークシャーテリアのコボルトとシェットランドシープドッグのコボルトがレンに甘えて来たので、レンは2匹の頭を撫でる。
「良し良し、元気だったか」
それから百匹のコボルトは送還し、場所をオミラン王国王城の謁見の間に移して面会を行う。
謁見の間で面会したのは、オミラン王国国王と王妃、王子とその正妻のルル。宰相。そして、オミラン王国国王の横で頭を掻く将軍イヴォン。
「いやぁ、先程はお恥ずかしいところをお見せしました。ヴァイシュラ様の美しさに見惚れておりました。オミラン王国将軍のイヴォンです」
改めて挨拶する将軍イヴォン。
「しかし、あの練度は凄いですね。そしてあの人気」
王子もコボルト達が王城を行進した時の熱狂ぶりを興奮して話して来る。
「私も窓から見ておりました。ルルが連れて来たモフモフがあんなにいるなんて羨まし過ぎます」
と王妃も興奮して、ツヴァイやフィア、丿イン、フンフを羨ましそうに見ていた。
アレス王国側は、国王レン、大将軍ヴァイシュラ、軍師サンディ、フェルダー、エリー、ダリア、ゲイルが円卓に座っていた。
その後ろで護衛を務めるロジーナと8匹のコボルト達は無言で周囲を警戒している。
ゴールデンレトリーバーのツヴァイ。
ドーベルマンのドライ。
フラットコーテッドレトリバーのフィア。
シベリアンハスキーのフンフ。
ワイマラナーのアハト。
ジャーマンシェパードドッグのドライツェン。
ボルゾイの丿イン。
セントバーナードのツヴェルフ。
一通り挨拶と雑談が一段落するとサンディが口を開く。
「さて、南オミランの攻略についてお話しましょうか」
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