第116話 次の目標
2ヶ月後、元ヒダ王国も元エマ王国も全ての領地がアレス王国の領地となった。
そして、新生アレス王国の宣言を行い、レンとヘレナの結婚式、レンとリリスの婚約発表も無事終わり、日常を取り戻したアレス王国。
「ヒダ王国とエマ王国の制圧が完了した事を周知した、レンの新生アレス王国宣言はカッコよかったわよ」
「そうかな? ……そうでもないよ」
ヘレナがレンを褒めるが、照れくさくて肯定出来ないレン。
今日も今日とて国王の執務室で執務をこなすレンとヘレナ、そしてリリス。
「王国全ての領主達を王都に集合させたから、賑やかだったしね」
「あわせて、結婚式と婚約発表もやるとは思わなかったよ。あんなに派手な事は恥ずかしくて、二度とはごめんだな」
「あら、私との結婚式は更にミノス王国の貴族も呼びますわよ」
「うへぇ」
「ふふふ、招待する貴族を厳選しましょうか」
「ああ、そうして貰うと助かるよ。結婚式はリリスに任せてるから、口出しはしないつもりだけどね」
「結婚しても日常は変わらないね」
ヘレナの問いに答えるレン。
「そうだね。まあ、幸せは後から『ああ、あの頃は幸せだったなぁ』って分かるものだし、今こうして変わらぬ生活をしている事が幸せなのかもよ」
「え、嫌だとは言ってないわよ。充分幸せよ。ただ、結婚したら何かが変わるのかなぁって漠然と思ってたけど、何も変わらなかったなぁってそれだけよ」
「夜は変わったんじゃないかしら?」
「リリス、その話はここでしないで、誰が聞いてるか分からない。と言うか、プリシラとオリビアとロジーナは聞いてるぞ」
「ふふふ、聞かせてあげても良いのですよ。………まあ、恥ずかしがり屋の旦那様を揶揄うのはこのくらいにして、今後の目標と行動は決めて置いた方が良いと思いますわ」
「そうだなぁ、次はミノス王国と思ってたが、リリスと婚約したから取り敢えずは同盟の方向だし、東の騎馬民族のカイル王国とエマの北にある軍神のエチラル王国は長年争っているが、両国とも強大なので、今はまだとても対抗出来るとは思えない」
「西はカガーラ教国。手を出せば面倒ですよね。だから南の我がミノス王国に手を出すつもりだったのでしょう」
「そうだ。アレスもミノスも海がない国だから、本当はミノスの南の国を制圧したいのだが───」
「六天魔王のオワリル王国ですよねぇ」
「そうなんだよ。ミノスの北はアレス、南は六天魔王、東は騎馬民族、残るはの大きい湖がある西のオミラン王国しかないよな」
「想定通りです。六天魔王は今と変わらずミノス王国が食い止めて、西に進出ですね」
「うん………」
「何か心配事でもあるのかしら?」
「いや………」
「ミノス王国が裏切らないか心配なのよね。もし、西の国を攻めてる時にミノス王国から挟撃されたら退路がないものね。レン。もう、リリスにもはっきり言いなさいよ」
ヘレナはレンが言えない事を遠慮なく言う。
「なるほど、まだミノス王国の信頼が低いのですね」
「あ、リリスを疑ってる訳じゃないよ」
「それは、分かってます。婚約発表の時にミノス王国の国王と重臣が何名か来たぐらいですからね………、私が一緒にいきます」
「え、そりゃ王女が一緒なら攻められないと思うけど、リリスは戦闘出来ないでしょ。足手まといよ」
ヘレナはリリスの参戦に反対する。
「大丈夫でしょ。ツヴェルフが守ってくれるし。ね、ツヴェルフ」
「わんわん」(任せてワン)
「それからロジーナも守ってくれるでしょ」
「守るよー!」
「それに、レンだって戦闘力が低いのではないかしら?」
「うっ、そう………、かな?」
「ガフガフ」(低いワン)
「ウォン」(弱いワン)
「お、お前達まで………」
レンはアハトと丿インを恨めしそうに軽く睨む。
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