第76話 ツヴェルフとドライツェン

 レンとラバンとカルマンは騎竜に乗って、そしてレンの横をワイマラナーのコボルト・アハトとボルゾイのコボルト・ノインが並走して次の都市に向かった。


 途中何度か魔物と戦うもアハトとノインの敵ではない。


「やっぱりつえぇよな」

「ですねぇ。コボルトとは思えない」


 アハトとノインの戦いを騎竜の上にから観戦するラバンとカルマン。


「まぁな、うちの最強戦力の一角だからね」


「最強戦力?」


 ラバンとカルマンに応えるレン。


「とは言っても最強戦力は10匹と5人いるけどね。ああ1匹増えたから11匹だ」


(コボルトのアインス、ツヴァイ、ドライ、フィア、フンフ、ゼクス、ズィベン、アハトノイン、ツェンにエル。人間はフェルダー、ゲイル、ダリア、エリーにヘレナだな)


「こんなのがあと14もいるのかよ。おっかねぇな」

「他の国なら英雄レベルですよ」


「そうなのか? 他の国の戦力は知らんからなぁ」


「少なくともこの国では英雄レベルですね」

「冒険者ランクで言うとAかSかなぁ」


「そっかぁ、AかSランクの奴らと戦う時は気をつけないとな」


「ちなみにコジマ公爵はそのレベルですよ。しかもSランク相当」

「この国の英雄の一人です」


「むむ、そっか………」


「後はヨショリ国王と恐らくはヨリツナ第一王子もね」

「戦闘系スキルを磨いて来た一族ですからね」

「おい、それは……」


 戦闘系スキルを磨いて来た一族の一人と言えば、レンもその一人だ。だが、残念スキルだった事は周知の事実。


 ラバンはカルマンの一言がレン批判に繋がると心配してカルマンを止めるが………。


「団長、何を心配しているのです。レン様のスキルは英雄レベルのコボルトを生み出せるスキルだと言う事ですよ」


「ふっ、まあそう言う事にしといてやろう。お、もうすぐ次の都市だ。アハト、ノイン。送還するぞ」


「ガフガフ」(了解だワン)

「ウォンウォンウォン」(マスター、気をつけてワン)


「送還!」


「団長、レン様のこの送還と召喚は無双スキルですよ。戦況を一気にひっくり返す事も出来るし、都市を制圧出来るのもこのスキルとコボルト達の実力があってこそ」


「そうなんだよなぁ。これから都市を制圧しに行くって言うのに、緊張も不安も全く無いんだよなぁ。あの数のコボルト達を一気に呼ぶのを見たら負ける気がしない」


「はは! 気を抜くなよ」


 その日、レン達は傭兵団として、都市の門を問題無く通過した。


 そして、つい数日前と同じ様に都市を制圧した。数日前と違うのは、カルマンと言う弁の立つ男が同行した事。


 カルマンの実力か偶々か、領主を始め主だった者がレンの配下になり都市を制圧した。


 それは次の都市も同様だった。


 しかし両都市ともに自由を愛する冒険者ギルドは最後まで抵抗し、レンとの対決姿勢が明確になり関係は悪化していた。


 そんな中で………。


「わんわん」(俺は名前を貰ったワン)


 尻尾を激しく振り喜ぶセントバーナードのコボルトはツヴェルフとなり、その都市の抑えとして残り。


「わおおおおおん!」(やったぜ! 俺はドライツェンだワン!)


 鳴いて喜ぶドライツェンとなったジャーマンシェパードドッグのコボルトは、その次の都市の抑えとなりコボルト達を指揮する事となった。


「こりゃ、カルマンの実力は再評価しないとなぁ」


 レンはカルマンを初めに制圧した都市の領主代行に据えて、コジマ公爵との一戦に備える。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る