第72話 冒険者ギルド制圧
その後、レンは他の傭兵団も全て制圧した。衛兵の詰所と同様にカルマンの説得が功を成したようだ。
「冒険者ギルドで最後だな」
「そうなりますね」
レンの言葉に元傭兵団団長のラバンが答えた。
「良し、行こうか」
「ガフガフ」(腕が鳴るワン)
「ウォン」(了解だワン)
レンの両脇をワイマラナーのコボルト・アハトとボルゾイのコボルト・ノインが歩く。
その少し後ろからラバンに騎士団団長のマディソン、衛兵隊隊長のネイサンと大勢のコボルト達が続いて街路を歩く。
「わんわん」(あ!マスター、ワン)
「わんわん」(マスター!ワン)
レンが指示して街を巡回しているミニチュアダックスフンドとシーズーのコボルト達がレンに近寄って来た。
「どうした?」
「わんわん」(冒険者ギルド前がワン)
「わんわん」(激戦だワン)
「ふむ、そうか。お前達も行くのか?」
(見た感じ弱そうだから、行くなら止めさせよう)
「わんわん」(無理だワン)
「わんわんわんわん」(土佐犬の親分が行ったワン)
「それは賢明だ。巡回を頼むぞ」
「あの〜、その子を抱っこしても良いかしら?」
「ん?」
副団長オリビアがレンに恐る恐る声を掛けてきた。
「いや、巡回中だから駄目だよ。戦争が終わって本人達が良いなら良いけどね」
「早く戦争を終わらせなきゃ……」
と決意するオリビアだった。
冒険者ギルド前に行くと、冒険者とコボルト達の遺体が見える。
「すいません。冒険者達は説得出来ませんでした」
カルマンが駆け寄り、レンを見て頭を下げた。
「良いよ、仕方ない。従わない奴らは実力行使だ」
「わん! わんわんわん」(マスター! お疲れワン)
「わんわん」(マスター! ご無沙汰ワン)
土佐犬のコボルトとイングリッシュブルドッグのコボルトが、腕を組んで冒険者ギルドの建屋を睨んでいたが、レンが来たのを察知して、直ぐに駆けて来た。
周りにいた数匹のコボルト達もレンに駆け寄る。
「激戦だったらしいな」
「わんわん」(俺が来たから大丈夫だワン)
「わんわん」(負けないワン)
「良くやった。冒険者達は今どうしてる?」
「わんわん」(ギルドにワン)
「わんわん」(立て籠もってるワン)
「おい! 聞こえるか! 俺は辺境街の領主レンだ。この都市は冒険者ギルドを除き制圧した。今すぐ俺の配下になるなら命は取らないでやる。今すぐ武装解除して出て来い!」
「え! なんだか可愛いモフモフがいっぱい来たわよ」
「本当だ。行こうか。勝てる見込みも無いしね」
女性の冒険者が数人両手を挙げて出てきた。
「おい! お前ら裏切るのかよ!」
「敵は魔物だぞ」
ギルドの建屋の窓から顔を半分出して、男の冒険者達が叫ぶ。
「はあ? あんた達ねぇ! 私達が可愛い魔物を襲うのは止めてって言ったのに」
「売れそうな魔物を捕まえて何が悪いって言って、反撃されて死にそうになった癖に何言ってんのよ」
「セクハラされたのは忘れてないわよ。初めからあんた達は味方じゃないのよ」
女性冒険者達は両手を挙げたままレン立場の元へ辿り着く。
「クソッ、あ! 騎士団もいるじゃねえか」
「おい、助けてくれよ」
「市民が魔物に襲われてんだぞ!」
レンの側に騎士団長のマディソンと副団長のオリビアが居るのを目敏く見つけた冒険者達が騒ぎ出した。
「あんたらねぇ………。この子達の敵は私の敵よ!」
近くにいたマルチーズのコボルトから弓矢を借りて、冒険者達に矢を放つオリビア。
オリビアの放った矢を避けて、オリビアに文句を言う冒険者。
「ひでぇ! 騎士のくせに魔物の味方をするのかよ!」
「おい! 勘違いするなよ。これは戦争だ、遊びじゃないぞ、コボルト達は俺の騎士達だ。騎士に抵抗し俺に従わない奴は俺の領地にはいらない! 説得は終わりだ」
レンは冒険者達にそう言うと、コボルト達を振り返り。
「燃やせ!」
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