第52話 ゴブリンの穴2

「そうそう、ノズチの胃袋を使ったマジックバッグが出来たわよ。見た目は普通のバッグにしといたけど、中味は凄いわ。超大型のマジックバッグよ」


 黒い普通の、どこにでもあるような肩掛けのバッグをジュリアがレンに渡した。


「へえ、普通に見えますね」


「ダンジョンに行くなら丁度良かったわ。素材を沢山持って帰って来てよ」


「素材ですかぁ。程よい魔物が居れば良いのですが………」


「外装が気に入らない時は変更出来るから言ってね」


「いや、これで良いです。流石、ジュリアさんですね。有難う御座います」


「あとは胃袋の端切れで、小型か中型のマジックバッグも大量に出来ると思うわ。これからこの子達に作り方を仕込むから後で貰うと良いわ」


「それは有り難い。コボルト達に使わせましょう」


「その分の料金も後で払います」


 ヘレナが会話に割り込み、ジュリアさんに告げる。


「超大型のソレの作成代金は貰うわ。その他はコボルト達が作成するのでいらないわよ」


「有り難う御座います。そうさせていただきます」


 そんなジュリアとヘレナのやり取りを黙って見ているレンであった。



 その後、レン達は移動の為に蜥蜴の魔物ドラッヘのところに向かう。


 レンは途中でドーベルマンのコボルト・ドライに声を掛ける。


「ドライ、そこそこ腕が立つコボルト数名に声を掛けて同行させてくれ」


「ガウ」(了解ワン)


 ドライが近くにいたミニチュアシュナウザーのコボルトに声を掛けて何やら「ガウガウ」伝えると、そのコボルトは急いで走り去る。


「どしたの?」


「ゴブリンの穴がダンジョンだったら、見張りを置いた方が良いだろう」


 レンはヘレナの問いに答える。


「それもそうね」


 レンとヘレナはドラッヘに乗り、ドライ達とともに村の出入り口に着くと、そこに数匹の屈強なコボルト達が待機していた。


 土佐犬のコボルト、アメリカンピットブルテリアのコボルト、カンガール・ドッグのコボルト、ドゴ・アルヘンティーノのコボルト、ロットワイラーのコボルト、アクバシュドッグのコボルト………。


「おお、強そうなコボルト達だ。ん? 土佐犬とアメリカンピットブルテリアは35匹の眷属の子の中の2匹じゃないか。久しぶりだな」


「わんわん」(マスター!ワン)

「わんわん」(久しぶりワン)


 土佐犬とアメリカンピットブルテリアのコボルトが抱き着いて来るので、頭を撫でるレン。


「ガウガウ」(何故、お前らがいるワン)

「わんわわん」(そこそこ強いからだワン)


「ガウ!」(そこそこじゃないワン!)

「わんわん」(ドライと比べればそこそこワン)


「ガウ?」(さては?)

「わんわわわん」(勿論マスターと会いたいからワン)


「わんわん」(いつもドライ達ばかりワン)

「わんわわん」(ズルいワン)


「ああああ、ワンワン煩い!」


「ガウ〜」(ごめんなさいワン)

「わん〜」(すいませんワン)

 土佐犬達とドライが言合ってたが、レンに怒られてショボンとなった。


「これからゴブリンがいる穴に入って調査を行うが、俺達が穴に入っている時に誰も近付けさせないようにしてくれ」


「わんわん」(分かったワン)

「わんわん」(任せてワン)


「良し、行くぞ!」


 レン達はゴブリンの穴に向かった。


 ゴブリンの穴の前では、穴を発見したコボルト達が待機していた。


「ご苦労!」

 レンは右手を上げてコボルト達を労い。


「頼んだよ」

 土佐犬のコボルト達に指示を出した。


 そしてレン達はゴブリンの穴に入って行く。


 レンと一緒に穴に入ったのは、ヘレナと前衛のドライとアハトとノイン、後衛のツヴァイとフィアだ。

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