第22話 コボルト+5
馬車に乗り辺境の開拓村に向うレン達。フェルダーとゲイルは騎乗し周囲を警戒しながら進み、御者はエリーとゴールデンレトリーバーのコボルト・ツヴァイが務める。
馬車にはレン、ダリア、ヘレナの3人と、秋田犬のコボルト・アインス、ドーベルマンのコボルト・ドライ、フラットコーテッドレトリバーのコボルト・フィア、シベリアンハスキーのコボルト・フンフの4匹が乗っている。
途中で薬草を採取したり狩りをしたりと比較的ゆっくりとした行程で進む。
野営した次の日の事。
その日の御者はダリアとフィアだった。
「ワォン」(コボルトが魔物に追われている)
警戒の声を上げるフィア。
「フィア、どしたの? 魔物? 『サーチ』………本当だ。コボルトが前方から来るわね」
ダリアは探索の魔法を放ち確認すると、馬車の中でも、コボルト達が窓に鼻をつけて臭いを嗅ぎながらレンに伝える。
「ワフワフワフ」(5匹のコボルトが10匹のゴブリンに追われてるワン)
「ワンワンワン」(助けてあげたいワン)
「ガウガウガウ」(ゴブリンをやっつけてやるワン)
「バウバウバウ?」(行って良いワン?)
レンは御者をしているダリアにコボルト達の言葉を伝える。
「ダリアさん、馬車を停めて下さい。コボルトがゴブリンに追われているようです。コボルト達が助けたいと言ってます」
「分かった! リーダー、ゲイル! 前方でコボルトがゴブリンに追われている。助けに行くわ」
ダリアは馬車を停めて飛び降りるとフィアも飛び降りた。
「了解!」
馬車と並走で騎乗していたリーダーとゲイルは前方に走りだす。
「俺がコボルトをテイムするから、アインスはコボルト達を回復薬で回復してくれ。アインス以外は戦って来い!」
レン達も馬車を降りると前方に走り出す。
エリーとツヴァイは馬車の屋根に飛び乗り、ゆみを構え矢を番えた。
ダリアも馬車の屋根に飛び乗るとヘレナも屋根に登る。
「カァー♪」
すると八咫烏のヤタが上空からヘレナの方に降りて来た。
「ヤタ! 状況確認宜しく」
「カー、カー!」
ヘレナがゴブリンの頭上を指差すとヤタは飛んでいき、ゴブリン達の頭上を旋回して状況を見守る。
フェルダーとゲイルは馬を駆り逃げてくるコボルト達を迂回して、ゴブリンを目指す。
ドライ、フィア、フンフは真っ直ぐコボルト達に向う。
「ガウー!」(助けに来たワン!)
「ワォーン!」(任せろワン!)
「バウバウバウ」(後ろは味方だワン)
逃げるコボルトの頭上をエリーとツヴァイの矢が通り過ぎ、二匹のゴブリンの額を貫く。
その後をダリアのファイアボールが飛んでいき一匹のゴブリンを燃やす。
「グゲエエエエ!」
燃えて転がるゴブリンを見て他のゴブリン達は立ち止まり辺りを見回す。
フェルダーとゲイルが騎乗から剣と槍でゴブリンを斬り払い。
ドライがマチェットでゴブリンの首を落とし、フンフが槍で突き刺し、フィアが杖で喉を突く。
残った二匹のゴブリンが慌てて逃げようとするが、エリーとツヴァイの二の矢が後頭部に突き刺さった。
馬車の前では逃げて来たコボルト達をレンがテイムし、アインスが回復薬を飲ませて、『クリーン』を掛けていた。
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