第6話 田中成海と雨②
上ってきた時とは正反対の速さで階段を駆け下りた。
こめかみで、血液がどくどくいっている。涙が、勝手に目からはみ出す。
(こんな事で泣きたくないのに。)
(しかも、何で倉田に見られないといけないのよ!)
(最悪。本当に最悪!!!)
急いで上履きを脱ぎ、スニーカーを靴箱から出して床に投げ出す。左足のスニーカーがひっくり返る。あわてて裏返し、足を突っ込む。
グラウンドでは、容赦なく雨が降っている。
サッカー部だけが、泥をはねながら走っているのが見えた。
(とにかく、帰ろう。走れば10分で帰れるんだ。)
リュックサックを胸の前にしょって抱きしめ、意を決して玄関を出ようとした時、背中から声がとんできた。
「田中、ちょっと待って!」
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