第99話

 「聞いて欲しかったの?」とは、言わなかった。

 

 「別にそこまで大した話ではないんです。よくある、失恋して死にたくなったってだけなんです。でも、そんな時に私を助けてくれた――」


 「どれだけ話しても、緩奈と付き合う気はないよ」


 「・・・はい・・・分かってます」


 少し悪いとは思ったが、緩奈の話を遮って話を無理やり終わりにした。

 ・・・おそらく、この話は脅しなんだろう。

 失恋したら、自殺するぞ。

 それが、分かっている上で、俺は付き合わないと言い切った。

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