第98話

 ジュ―。


 「本当に最後ですか?」

 

 肉を焼きながら、緩奈が尋ねて来た。


 「くどい。約束だろ」

 

 緩奈の取り皿に、肉を放り込みながら、答えた。

 

 「はぁ。私って、そんなに魅力ないですか?」

 

 「・・・なくなはないと思うぞ」


 「じゃあ―」


 「却下」

 

 緩奈は「むー」と頬を膨らませて肉にがっついていた。

 

 「「・・・」」


 話す話題がなくなってしまった。というか。緩奈の方から語りかけられていつも喋っているのだから。その緩奈が不貞腐れて喋らなくなると沈黙の時間が続いてしまう。

 

 「卓也さん。私が自殺しようとした理由。一回も聞きませんでしたね」

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