第80話

 「ふぅー」


 一通り愚痴を言いきった娘は大きく息を吐いた。


 「それで、そのデートが最後なんでしょ。本当にこれから緩奈さんとは会うつもりはないんだよね」

 

 「あぁ。これで最後」


 「最後」という言葉を聞き、娘は真剣な声で心配してくれた。

 

 「ここまで隠し通してきたんだから、最後も上手い事やってよね。私、母さんはどうなってもいいけど。・・・父さんの事は好きだから」


 「・・・」


 感動した。

 娘がこんなにも父を想ってくれているなんて。

 だから、言わないでおこうと思っていた。話をする事にした。


 「本当は、親父が美喜に伝えてくれる話になっていたんだけどな。父さん。しようと思っているんだ」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る