第44話

 「撮った写真は、もう誰か他の人に見せたのか?」


 当然、男は私が撮った写真を気にしていた。

 それはこっちも同じである。


 「まだ誰にも見せてません。それで、私にどうしろって言うんですか?そっちの写真と引き換えにこっちの写真を消せって言うんですか?」


 せっかく、手に入れた証拠写真だったが、男がそう言うなら従うつもりであった。

 手に入れた証拠を失うよりも、男が撮った盗撮している私の写真が流出して世間の話題になり、親や学校に私がしていることがバレてしまう方が、まずいと思ったからである。

 浮気の証拠は、また、別の方法で集めればいい。

 そんな風に私は考えていたが、男は予想外の事を言い出した。

 

 「じゃあさ、あの写真を拡散されたくなかったら、俺とデートしない?」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る