第25話

 娘は、妻にこの事は離さない方が良いと言う。

 てっきり、正直に言う様に言われると思っていた俺は呆気に取られていた。


 「父さん。気づいてないの?母さん、多分だけど浮気してるよ」

 

 は・・・い?!


 娘から衝撃の告白を受け、完全に思考が停止して、数秒固まってしまった。


 「嘘だろ?」


 今、このタイミングで娘が嘘を話す必要などないと分かってはいるものの、嘘を疑わずにはいられなかった。

 

 「まさか、父さんはただの友達と二週間も旅行に行くと思ってるの?」

 

 確かに、少し長い旅行だなと思っていたものの、日頃の妻に浮気を疑う男の影など一切感じていなかった。


 「・・・私、帰った方が良さそうですね」


 黙っていた、緩奈が口を開いた。 


 「父さん。この人家まで送って来る」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る