第154話 クリスマスデート直前の綾奈
今日はクリスマスイブ。待ちに待った真人君とのクリスマスデートの日。
私は終業式が終わると、クラスメイト達への挨拶もそこそこに、すぐにちぃちゃんと一緒に家に帰った。
家に帰って軽めに昼食取って、デートの為の準備をする。
この日の為に買った服……真人君喜んでくれるかな?
私はベットに置いた服を着るため、制服を脱ぎ始めた。
そして下着姿になり、私は今着けている白のシンプルな下着も脱いだ。
この日の為に買ったのは服だけではない。下着も新しいのを購入した。
大人っぽい、上下赤色の下着。所謂勝負下着だ。
今日真人君にこの下着を見せることはないと思うけど、そこは気持ちの問題だ。
見えない所にも全力でおしゃれをする。初めてのクリスマスデートだからいいよね。
「寒い!」
私は慌てて下着を身につけ、服も着て、普段しないメイクもした。
あまりやりすぎると逆に違和感を与えてしまうので薄くにとどめた。
真人君へのプレゼントをしっかりとミニバッグに入れた事を確認して階段をおりた。
お母さんに見せると驚いていた。
そりゃ、普段より気合いの入ったコーディネートで、かつメイクもしていたら驚くよね。
お母さんに「今日だけは遅く帰ってきても大丈夫だからね」って言われて、私はすぐにその言葉を理解して一気に顔が熱くなった。
え、えっちな事はしないから!
……キスはするけど。
駅へ向かう道中、私は先日、プレゼント選びの時に、ちぃちゃんと茜さんに言われた事を思い出していた。
真人君を呼び捨てに、か。
今まで誰に対しても呼び捨てにしたことがない私は、プレゼントを買ったその日の夜から、部屋でこっそり真人君を呼び捨てにする練習をしていた。
でも、何度やっても真人君を呼び捨てに出来ない。
呼び捨てに出来ないのなら、いっそ茜さんが山根君を「カズくん」って呼んでいるように、私も真人君のことを「マサくん」って呼ぼうと考えなかった訳では無い。
私が友達を愛称で呼ぶのはちぃちゃんだけ。異性を愛称で呼ぶのは私にとってはそれだけでかなり特別なことだ。
だけど、やっぱり呼び捨てより弱いかなと思ってやめた。
真人君は私の一番大切な人。
私も、呼び捨てで呼びたい。
もしかしたら今日も呼べないかもしれない……いや、そんな弱気ではダメ。
今日のデート中に真人君を呼び捨てで呼んでみせる。
私はそう決意をし、駅に向かった。
駅に向かうと、真人君の後ろ姿が見えたので、私は後ろから抱きついた。
私の方を向いてくれた真人君を見て、私の思考は完全に停止した。
服装も今日の為にかなり気合いを入れてくれたのがわかる。それよりも───
真人君がメガネをつけていた!
そのメガネが似合いすぎて、かっこよすぎて、つい見惚れてしまった。
真人君が今日の私のコーディネートを褒めてくれた気がしたけど、メガネ真人君に集中しすぎて聞こえなくて、そしたら真人君はもう一度感想を口にしてくれた。やっぱり優しいな。
その時に何とか呼び捨てに出来ないかと試みたけど、やっぱりダメだった。まだ時間はたっぷりあるから、これからこれから。ポジティブに考えよう。
移動しようと真人君の手を引っ張ったら、突然呼び止められた。
誰かなと思って声がした方を見たら、中学まで同じだった政枝君、本郷君、沢津君だった。
すごく久しぶりで、三人に挨拶をしたら、それまですごい勢いで真人君に詰め寄っていたのに急に大人しくなった。どうしたのかな?
三人と別れ、いよいよクリスマスデートが始まるんだ。
ちゃんとプレゼントを渡して、真人君を呼び捨てにするよう頑張ろう。
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