第149話 ご褒美を実行する日
その翌週の金曜日。
授業はほとんどなく午前中で学校が終わり、家に帰った俺はそわそわしていた。
今日は、テスト期間前に綾奈と言っていた「学年十位以内に入ったらなんでも言うことを聞く」を、実行する日だ。
そして今は昼過ぎ、そろそろ綾奈がうちに来る頃合いだ。
あの結果発表の時以降、俺は綾奈に何をお願いするかを考えていた。
なんでもと言っているが、綾奈は「えっちすぎるお願いは聞けないかも」と言っていたので、そこに触れない事を考えていた。
そうしてあることを考えついたのだが、これは多分セーフだろう。
そしてこのお願いは、外では無理なお願いだ。
それだけを伝えると、綾奈は顔を真っ赤にしながらも、うちに来ることを了承してくれた。
その時に綾奈は気になる事を言っていた。
『私のお願いも、外では出来ないことだから』と。
一体何なのか凄く気になる。
「ふわぁ~あ」
なかなか決まらずに、昨日の夜まで考えていたから正直結構眠い。
でも、俺のお願いの内容的にはむしろ好都合かもしれない。
すると、一階からインターホンが鳴った。
おそらく綾奈だろうと思い、俺は急いで玄関へ向かう。
玄関を開けると、そこには綾奈が立っていた。
「こ、こんにちは真人君」
「うん。いらっしゃい綾奈」
今日の綾奈はパンツスタイルの私服だ。
俺がそう頼んだとはいえ、綾奈は俺と会う時はほとんどスカートだったので新鮮だ。
綾奈はどこかそわそわしていて落ち着かない様子だ。
多分俺のお願いがどんなのか、色々予想してるんだろうな。
「さぁ、入って」
「お邪魔します」
そうして靴を脱ぎ、スリッパに履き替える綾奈。
リビングに続く扉は開いていて、リビングを見ると、美奈がお菓子を食べながらテレビを見ていた。
「こんにちは美奈ちゃん」
「あ、お義姉ちゃん。いらっしゃい」
美奈は綾奈に手を振っている。
綾奈も手を振り返し、俺たちは二階にある俺の部屋に向かった。
期末試験の前の週の金曜日以降も、登校は一緒だったけど、綾奈は部活が再開したこともあり下校は別々だったので、正直綾奈も甘えたいんだろうなと思う。実際俺も綾奈には甘えてほしいしイチャイチャしたい。
だが、今日うちに来た目的を考えると、どんな内容かドキドキして、そっちの方に意識が持っていかれてしまうから甘えるどころではないのだろう。
現に綾奈は何度か来たことのある俺の部屋をキョロキョロしてるし、まだそわそわしていて落ち着きがない。
「綾奈。落ち着いて」
俺は優しく語りかけ、綾奈の頭を撫でた。
「う、うん。……それで、真人君のして欲しいことって……?」
おっと、いきなり本題を切り出してきたか。
多分綾奈的には、気になることを早く片付けて、早く俺に甘えたいとかそんな事を考えているのかな?
「うん。じゃあ、その……ベッドに、横になってくれる?」
「ふえ!?」
俺の言葉に動揺する綾奈。耳まで真っ赤だ。
俺の顔とベッドを交互に見てオロオロしている。
俺は綾奈に微笑みかけ、手でベッドへ行くように促した。
「あぅ……」
綾奈は恐る恐るベッドへ歩を進めて、やがてベッドに腰をおろした。
綾奈はその体勢で俺を見てきたから、俺は笑顔で頷く。
「し、失礼します」
そう言って綾奈は俺のベッドに横になった。
「ま、真人君。これからどうするの?……ま、まさか、私が真人君の匂いを嗅いでうっとりしているのを真人君はただ眺めているだけとか……っ!」
……綾奈の中の俺は、一体どんな性癖を持っているのか小一時間程問いただしたいが、今は置いておこう。
「違うよ」
俺はツッコミたいのを我慢してやんわりと否定し、ベッドへ近づく。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます