第91話 お待ちかねのご褒美タイム
「じ、じゃあ……どうぞ」
ゲームを終えてハードを片付けると、綾奈は正座をしていて、顔を赤くしながらそう言うと、自分の膝をぽんぽんと叩いた。
お待ちかねのご褒美タイムだ。
制服から覗く綾奈の美しい太ももが眩しい。
中学時代からモテまくっていて、そして現在は俺の彼女である女の子に膝枕してもらうんだよな……。
自分から言っといて何だが、今になってめっちゃ緊張してきた。
ドキドキしながらも膝枕してもらう為、一度綾奈の傍に腰掛ける。
そして綾奈の太ももをもう一度見る。
綾奈の太ももはびっくりするくらい白く、シミやキズも全くない本当に綺麗な太ももだ。
「あ、あんまりまじまじ見られると……恥ずかしいよぉ」
「ご、ごめん」
これ以上見ているとご褒美を受けられなくなると思い、俺は寝転がる体勢に入る。
「じゃあ、失礼します」
ことわりを入れてから綾奈の膝に自分の後頭部をつけた。
「おぉ~」
瞬間、俺は感嘆の声を漏らした。
なんだこれ、ものすごく心地いい。
綾奈の膝枕は寝心地抜群で、柔らかい感触で凄くいい香りがする。
控えめに言って最高だ。
「どうかな?寝づらくない?」
「さいこぉ~」
綾奈の質問に何ともだらしない声で答える俺。
人をダメにするクッションという物があるけど、綾奈の膝枕は世の男をダメにする効果があると思う。 まぁ、ここのポジションは当然だが誰にも譲るつもりは無い。この膝枕でダメになるのは俺だけの特権だ。
「ふふっ、良かった」
上から綾奈の可愛い声が聞こえる。頭だけでなく耳も心地いい。
俺は寝返りを打って、身体を横─綾奈の身体とは反対方向─に向けた。
「綾奈」
「な~に?真人君」
凄く甘々な声。聞き方も可愛くなっている。
この声を聞いているだけで癒される。
「頭……撫でて」
「良いよ」
俺のお願いに綾奈は即答して、俺の頭に自分の手を置いてきた。
綾奈の小さな手が優しく俺の頭を撫で、細い指で髪をすいたりしてくる。
凄く、心地よくて気持ちがいい。
昨日も俺が眠る前に頭を撫でてもらったのは覚えているけど、熱があったしすぐに寝てしまったので堪能出来ずにいた。
「やばい、控えめに言って最高でしかない」
俺の表情は自然と緩む。
「真人君かわいい」
出来ればかっこいいと言って欲しいけど、俺は綾奈が言うほどのイケメンではないと思ってるし、今の緩みきった表情はよりイケメンから遠ざかっている。
「なんか、かわいいって言われるのむず痒いね」
「昨日お姉ちゃんから聞いたんだけど、女の人が男の人を可愛いって思うのは、その人のことが好きすぎるかららいしよ」
「そうなの?」
「うん。だから私が男の人をかわいいって言うのは真人君だけだよ」
「っ!」
頬を赤らめ、微笑みながら不意打ちでそんな事を言ってくる綾奈も大概ずるいと思う。
「あ、ありがとう」
俺は今の体勢のまま右手の甲で口を隠した。
「照れてる真人君、凄くかわいい」
綾奈はその後も俺の頭を撫で続け、俺は綾奈の膝枕と頭を撫でてくれる手と優しい言葉。三方向から感じる想いに幸せを感じていた。
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