21 さらなる先へ(麒麟視点)
SIDE 麒麟
麒麟は、神獣と呼ばれている。
神の使いであり、特に彼は数千年の修行の果てに、神に限りなく近い力を得た規格外の存在だ。
当然、人間が戦えるような相手ではない。
だが、人間という種族はまれに――とんでもない突然変異を生み出す。
かつてこの塔に挑み、彼と互角以上の戦いを繰り広げた青年魔術師ルーファスがそうだ。
そして、おそらく彼も――。
ガーラと名乗る、この少年もルーファスと『同じ側』にいる存在なのだろう。
「さらなる強さだと?」
麒麟がニヤリと笑った。
「ハッタリ――と言いたいところだが、お前に限ってそれはなさそうだ。さあ、楽しくさせてくれよ……
自然と高揚感が沸き上がる。
彼にとって戦いだけが人生だ。
強敵こそ友と呼べる存在だった。
ガーラは、まさしく友――。
「ああ。期待に添えられると思う」
ガーラもニヤリと笑う。
「おそらく、な」
ブンッ。
その瞬間。
「き、消え――」
その少年の姿を見失った。
次の瞬間。
「はああああああああああああああああああああああああああああああっ!」
ガーラが怒涛のラッシュをかけてきた。
連打。
連打。
連打。
また、連打――。
麒麟は防御するだけで精いっぱいだ。
反撃の隙がない。
反撃する余裕など、まったくない。
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