ナノ魔神
津嶋朋靖
第1話
「わはははははは! よくぞ、あたしの封印を解いてくれたなの!」
「な……なんだ! この
「聞いて驚くなの。あたしはナノ
「魔神? というと、アラジンの魔法のランプから出てきた……」
「あれは、あたしのお兄ちゃんなの」
「壷から出してくれた漁師を殺そうとした……」
「あれは。あたしのおじさんなの。あたしはナノ魔神なの」
「どうでもいいが……言葉使いおかしくないか? 『なの』というのは語尾につける単語で、『魔神』の前につけるのは……」
「違うなの。ナノ魔神は、ナノ魔神という名前の魔神なの」
「そ……そうなのか? 変わった魔神だな」
「変わってない魔神なんていないなの」
「それもそうか。しかし、魔神というには可愛らしい姿をしているな」
「そうなの。ナノ魔神は可愛い魔神なの。でも、おまえの何十倍も年上なの」
「つまり……ロリババア?」
「ロリババア言うななの! そんな事よりおまえ、早く願いを言うなの」
「願い?」
「そうなの。ナノ魔神の封印を解いてくれたお礼に、願いを叶えてあげるなの」
「そうか魔神って、願いを三つ叶えてくれるんだったな」
「違うなの。叶えられる願いは一つだけなの」
「一つだけ?」
「大魔神は大きいから、三つ願いを叶えられるけど、ナノ魔神は小さいから一つしか叶えられないなの」
「一つだけか。ううん……何にするか? そうだ! 残りの願いの……」
「願いの数を増やす願いはNGなの」
「だめか。せめて、三つにならないか?」
「ナノ魔神が、大魔神にバージョンアップしない限り無理なの」
「しょうがない。二~三日考えさせてくれ」
「早く願いを言わないと、おまえが困った事になるなの」
「なんで?」
「願いを言わない限り、あたしはおまえの後から付いて回るなの」
「別にいいよ。可愛いし」
「おまえロリコンなの?」
「ち……違う。別におまえにつきまとわれても、困らんと言っているだけで……」
「いいや、困ることになるなの。彼女いない歴=年齢のむさ苦しい独身男が、可愛い幼女を連れ回していたら、絶対に事案になっておまえは困ることになるなの」
「う……それは確かに困る」
「だから、早く願いを言うなの」
「せめて二つに増えないか?」
「しつこいなの。大魔神にならない限り増えないなの」
「くそ……いや、待てよ……ナノ魔神。願いが決まったぞ」
「早く言うなの」
「ナノ魔神よ。大魔神になれ」
「その願い、聞き届けたりなの。どーん!」
「うわわわわわ! 何しやがる!」
「わははははは。あたしはナノ魔神から大魔神にバージョンアップしたなの。よって、願いは、三つ叶えられるなの」
「何が、バージョンアップだ! 人の家を壊しやがって」
「家の中であたしをバージョンアップさせたお前が馬鹿なの。ナノ魔人から大魔神になれば、身体か大きくなって家を突き破るぐらい予想できることなの」
「やかましい! 家を元に戻せ!」
「分かったなの」
「お! もう治った。魔法ってすごいな」
「驚いたかなの」
「どうでもいいが、ナノ魔神から大魔神にバージョンアップしたのに語尾は『なの』のままだな」
「気にするななの」
「まあ、いい。願いは後三つ叶うんだったな」
「何言ってるなの。後一つしか残っていないなの」
「大魔神になったから、三つ叶えられるんじゃないのか?」
「一つはあたしのバージョンアップで使ったなの。もう一つはおまえの家を治すのに使ったなの。後一つしか残っていないなの」
「なんだとう!?」
「さあ。願いを言うなの」
ナノ魔神 津嶋朋靖 @matsunokiyama827
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