第19話 柴咲さんの真意②
「……気づいていたなら話は早いんですが、少し意外でした」
柴咲さんは、明らかに白鳥さんを挑発する目的で俺に接触することがある。
アプローチが柴咲さんらしくないので、すぐに気づいた。
「静香ちゃんは、間違いなくあなたに好意を抱いています。それも、日に日に想いは強くなってる……。なのに、全然それを認めようとしません」
「……好意を向けられているのには気づいているが、本当に恋愛感情なのだろうか。主への信頼というヤツではないのか?」
「絶対違います。女の私にはわかるんです」
そう言われては、俺からは何も言い返すことができない。
「そうか……。つまり、柴咲さんは俺と白鳥さんをどうにかしてくっつけようとしているんだな?」
「それも違います」
なん……、だと……
駄目だ。俺には柴咲さんの真意がまるでわからない。
「私は、好きでもない人と付き合ったりはしません。だから、その、ちゃんと好き、ですよ?」
ふむ。その表情は反則だな。
萌えざるを得ない。
「じゃあ、何故白鳥さんを挑発するんだ? ひょっとして、NDKを味わおうとしてるのか?」
「なんですか、そのNDKって」
「ねぇねぇ今どんな気持ち? の略だ」
「違いますよ! 私、そんなに性格悪くありませんから!」
「知っている。ちょっと言ってみただけだ」
柴咲さんはオーバーリアクションなので、からかい甲斐があるのだ。
「純粋で可愛らしい性格の柴咲さんが、そんな歪んだ趣味を持っていないことは理解している。だからこそ、その行動の意味がわからないんだ」
「かわ……、さ、さっきからから私のことかってませんか!?」
「いや、さっきのはともかく、今のは本心だ」
「~~~~~っ! わ、私はただ、静香ちゃんに正直になってもらいたいだけです! 静香ちゃんみたいな子は、絶対幸せになるべきなんです!」
直情型の柴咲さんのことだから本音なのだろうが、中々に難儀だな……
「柴咲さんはさっき、俺のことを好きと言ってくれた。そして白鳥さんにも幸せになって欲しいと。矛盾してないか?」
「いえ、ですから、静香ちゃんには私と対等であって欲しいんです。その上でなら、私は身を引いても良いと思っています」
俺と白鳥さんをくっつけるつもりはないが、結果的にくっつくのなら構わない、と。
本当に難儀な性格である。
普通女子というのは、自分の好いた男に近寄るライバルを蹴落とすものだと思っていたが、柴咲さんは対等な勝負がお望みらしい。
男より男らしいな……
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