おこシリアス師匠。


 

 今日も今日とて、全員制服。いや待てよ? 出掛ける時は制服って校則なんだよね? なんでポロンちゃんはジャケット着てるの?


「ポロンちゃん。校則的にそのジャケットはアリなの?」

 

「--ナシよッ! ちょっとポロン! 着替えもしないで飛び出さないで!」

 

「あっ!? ごごごごごめんなさいですっ!?」

 

「おっちょこちょいかな?」


 モモさんに言われてポロンちゃんはまたピューって屋敷に戻って行く。


「ポロンちゃんはせっかちだなぁ」

 

「ラディアさんに会えるから、舞い上がっただけ。何時もはもっとマシ」

 

「皆さん、おはようございます。今日はダングでスクールまでお送りしますよ」


 僕が挨拶すると、出て来た女の子達がピタって止まる。なになに?


(え、良くない?)

 

(むしろ良過ぎる。クラブには女の子も居るけど、大騒ぎ確定だと思う)

 

(ぶっちゃけマルはアリ寄りのアリ! え、本当にイケてない? ポロンの恋路じゃなかったら割り込みたいんだけど!?)

 

(分かる。え、待って本当にカッコイイ……)

 

(あのハットを押さえてポーズ取って欲しい)

 

(普通ならあの太いネックチェーンとか、他の人なら凄いダサく成りそうなのに、有り得ない程似合ってるのヤバいわよね?)


 あの、目の前でヒソヒソ話しは良くないと思うよ?

 

 上流階級に文句とか怖くて言えないけど。なんだろ、悪口じゃ無いよね? 女子ってそう言うとこ有るけど、モモさんはめっちゃ良い人だから無いと信じたい。

 

 僕がタクトとおじさん以外に感動したのは、ギルドの管理官であるセシルさん以来だから、出来れば信じたいところだ。

 

 そう思ってると、シャラさんがトコトコと僕に近付いてきた。


「お願いがある」

 

「えっと、なんです?」

 

「こう言うポーズを、お願いしたい」


 眠そうな顔でポケットから端末を出したシャラさんは、ささっと端末を操作して僕に画像を見せる。

 

 中には、僕の服とちょっと似てる服を着た成人男性が、右手でハットを押さえながら左手でシャツを少しはだけてるセクシーなポーズをしていた。シャツのボタンが上から三つほど空いてる着こなしだ。

 

 特に害も無いので、僕は自分のシャツをプチプチしてボタンを開けて、願われた通りのポーズを取ってみる。


 -カシャシャシャシャシャシャシャッッ……!


 なんか凄い撮影された。

 

 なに、えーと、なに?


『警告。被写体に無許可の撮影は帝国法に反する。肖像権侵害』

 

「わっ……!?」

 

「あ、シリアス?」

 

『侵害された肖像権に則って、外部アクセスを敢行。データの消去を実行する』

 

「まっ、待っ--…………!?」


 無断撮影した事に怒ったシリアスが僕の端末から発言して、シャラさんの端末に不正規アクセスして画像を消したっぽい。


「…………シリアス? 違法アクセスはマズイよ?」

 

『否定。侵害された権利回復の為ならグレーゾーンで済む。無断撮影とそのデータ処理の為の違法アクセスなら、こちらが有利』

 

「……け、消されちゃった。何が、起こった?」


 混乱してるシャラさんを、あと次いでに「シャラ行ったー!」と騒いでたモモさん達も、ガレージに案内する。

 

 そこではグラディエラアームをガチガチさせてちょっとお怒りのシリアスが居た。


「紹介するね。僕の乗機、オリジンのシリアスだよ」

 

『よろしく。しかしラディアの権利侵害は認めない。ちゃんと確認すべき』


 一人でに喋って動くシリアスにぶったまげる三人。

 

 先日の話しで存在は知ってたんだろうけど、実際に目撃するとインパクトが違うらしい。


「ご、ごご、ごめんなさいっ」

 

『謝罪を受け入れる用意は有る。しかし、謝る相手が違う。権利侵害されたのはラディアであり、シリアスじゃない。強いて言うなら、一緒に写ってしまったシャム、この僚機シールドダングも謝罪の対象』

 

「シリアス、多分シャムはオリジンじゃ無いから人権が認められてないし、権利侵害についてはシロじゃないかな?」

 

『肯定。しかし、シリアスから見れば沈静化処置を受けたとしても、同じ古代文明を祖とする仲間』


 なんか、シリアスがシャムにも仲間意識を持ってくれてて嬉しい。


「本当に、ごめんなさいっ。少し、調子に乗った…………」

 

「ああ、いや、僕は構わないよ。ネットにバラ撒くとか、人に見せまくって画像を渡しちゃうとかは困るけど」

 

『その可能性が有るから、最初に許可を取るべき。まだお互いをそこまで良く知らない間柄に於いて、無断撮影は中々失礼な行為だと判断する。質問、シリアスのこの考えは間違っているだろうか?』

 

「全然! マル達も後ろから応援しちゃったけど、これはマル達が悪い! ラディアさんもシリアスさんも、ごめんなさい!」


 ポロンちゃんが制服に着替えて来るまで、三人は僕とシリアスにペコペコしていた。多分これ、『オリジンは気難しい』って通説のせいで余計に怖がられてる気がする。


「えと、僕は許すよ。シャラさんも別に、ネットにバラ撒いて僕を困らせてやろうかと思ってないでしょ?」

 

「勿論、誓って。あまりに服のセンスが神掛かってたので、ちょっと暴走した」

 

「今回はシリアスが怒ったけど、普段のシリアスはお茶目で可愛いんだ。あまり怖がらないでね?」


 それは乗り手だからではって顔されたけど、まぁその内分かるよね。タクトとかおじさん相手だと凄いフランクだし。

 

 取り敢えず僕は、シリアスのイメージ回復の為に体を張って、被写体になる事にした。なんか写真撮りたがってたし。


『…………アングル決定が甘い。そのポーズなら、この角度が良いと判断する』

 

「………………ッッ!? し、師匠と呼んでも?」

 

『シリアスは弟子シャラートラーナを受け入れる。精進すると良い』

 

「はい! 師匠!」


 速攻でイメージ回復してた。


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