第169話 風の強い日
思えば出会いはいつも風の強い日で
キミは薄いマフラー翻しながら笑っていた
吹き付ける風に乱れた髪を手でなおして
それでもまた柔らかい毛はかき乱されて
どうにもならないと苦笑いを浮かべ
ふらつく自転車を慎重に押しながら歩く
差し出したかった右手はああなんて遠い
冷えきった指先を温めるのは淡い記憶だけで
縮められなかったその距離が哀しくて
ただ今のキミのことを見つめるしかなかった
思えば出会いはいつも風の強い日で
キミは薄いマフラーを翻しながら笑っていた
そして少し離れた隣を歩きながら僕は
この風が止む日のことだけを考えていた
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます