第146話 春のにおい
冷たい風に潜むその甘やかな香りは
なぜかいつかの温もりを思い出させて
なんとなく泣きたくなる
もう二度と戻れない
そんな分かり切った現実が
鈍い痛みとなって心を刺す
立ち止まり目を閉じて
胸いっぱいに吸い込む風
ほんの少し混ざりこむ春のにおい
これでは痛くても切なくても
蹲ることさえ出来なくなってしまう
だってこれは、始まりのにおいだから
目を開けて歩き出す
春のにおいに導かれるみたいに。
やさしい過去を抱きながら
ゆっくりゆっくり前を向いて。
その香りはいつだって
この頼りない背中を押すんだ
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