第139話 午前九時


寂れた街角の公園に

なんとなく佇んでいる

昨日の雨が大きな水溜まりを作り

行く手を阻むように横たわる

いつもよりも早く流れていく雲 

しっとり濡れたブランコが揺れる  

こんな風の強い日にはたぶん

まっさらな白い手袋が似合うから

手を振る子どもたちはきっと

純粋な夢を見るんだろう

汚れた大人たちはきっと

夢さえも見ず朝を知るんだろう

すべり台の縁を歩く鳩の

羽がなんとなく重そうで

無意識にため息をついた

曇り空の午前九時

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