第133話 震える白


見上げた空に小さな半月

手を伸ばすずっとずっと先の

想像より遥かに遠い

宇宙という永遠の中で

薄く輝くその白は

息を潜めているかのよう


強い風が吹いてきて

雨が近づいているのを知る


温度を失ったコンクリート

感情なんてそこにはなくて

それに酷くほっとして

膝を抱えて座り込む

居場所なんてものがあるなら

それはきっとこんな所だ


ぽつりぽつり落ちてくる雨

それでもきっと揺らがないんでしょ? 


ほのかに輝く半月はいまだ遠く

その影はどこか密やかで

僕は絶望という字を思い浮かべながら

冷えた体を空へ預けた

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る