第109話 空から金魚


軋むドアを無理矢理開けるみたいな

気だるさを体に押し込める

取り零した日々を嘲笑うように

水溜まりに映る黒い木が揺れる


あのときこうしていればなんて

無意味な言葉の羅列

過ぎ去った時は戻らない

手を伸ばしても届かない


それでも伸ばしたくなるのは

たぶん僕のわがままで

季節なんてどうでもいいから

ただ爪痕を残したかった


空から降ってくる金魚

風に舞うひまわりの花びら

頬を刺す鋭い冷気に

僕はもう何も言えなくて


空から降ってくる金魚

風に舞うひまわりの花びら

かじかむ指先に息を吹き掛け

僕はもうここにも居られなくて

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