第60話 野獣の思い


この体には

伝えたいことがいっぱい詰まっていて

言葉だけが

もう弾け飛んでしまいそう

それなのに出てくるのは

言葉にならない呻き声だけ

こんなにも言葉を

こんなにも伝えたいのに

醜いうなり声だけが

目の前の景色を埋め尽くす

言葉ひとつ落とすことも出来ないなんて

そんなのただの野獣だ

世界を睨み付けながら

低く低く唸っている

行き場のない思いをやり過ごそうと

きゅっと唇を噛みしめている

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る