第55話 未来に


幼い頃はもっともっと

世界は広くて輝いていて

どこかへ手を伸ばしたら

いつか届くと信じていた

それなのに現実は

ぽろぽろぽろぽろ崩れていく

見つめた世界は遠すぎて

いつしか近づくのを諦めた


もっと純粋であれたなら

今でも手が届くと思えたのかな

もっとキレイな心なら

まだまだ世界は輝いていたのかな


もう今は手の届く範囲でしか

物事を考えられないから

広々とした世界がとても

まぶしくて仕方がないよ

それなのにほんの少し震えた手が

足掻くように空へと伸びるから

いつか未来に届くようにと

目を閉じてそっと祈った

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