第26話 たとえば。


たとえばこの世界を

支配しているのが野良猫だったなら

今よりほんの少し鋭くて

ほんの少しのどかな世界だったんだろうか


たとえばこの世界の

表面が大きな水玉模様だったなら

今よりほんの少し華やかで

ほんの少しにぎやかな世界だったんだろうか


こうやって

いくつものたとえばを繰り返しても

現実は何も変わらないし

変えられることもない


ああ自分は人間だなあと思う

特別な感情もなにもないまま

こんなことを思う自分を

ただ単に人間なのだなあと思う

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