夜の住宅街
僕は今、現状の解決を必死に探してた。
「弥登にも春が来たか!!めでたいなぁ!」
「断じて違う!そもそも、来いって言ったのは親父だろ!」
遠くでは警察2人がこちらを見て温かい視線を向けてくる。とても居心地悪いのを感じながら目の前にいる春川さんを落ち着かせる。
「ほら、春川さんも落ち着いて。泣くのはいいけど強く抱きつくのは辞めてもらえる?男の子だよ?僕」
「…………………」
「男の子は男の子でも男の娘ってか!うまいこと言うようになったな!!」
「親父黙ってて!」
親父はうるさい。警察2人は視線が痛い。挙げ句の果てには春川さんはこの調子。ストーカーに対しての対策は甘かったけどさ………どうしてこうなったんだよ………
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「………寒いな。」
輝く星空の下、白い息を吐きながら歩く。
子供の頃は歩くだけでも怖かったのに今となっては全くないのが一般の回答。自分は怖いが歩かないと克服出来ない為、暗い道を歩く。………
本当なら、こんな夜に外に出るのは絶対にしない。
思い出してしまうから。
動けなくなってしまうから。
何も出来なくなるから。
今でも思い出すのを脳が拒んでる。
「………クソッ」
あの頃とは違う。力をつけた。今だったらあいつらを社会から消す事だって出来るのに、今でも考えては怖さが体を駆け巡る。嫌な思い出に蓋をする。
「………早く追いつくか。GPSは……!?」
スマホの画面に写る春川さんの現在位置が慌ただしい。そこから考えられることは………だったらまずい!――親父に電話。
「もしもし親父!親父は春川さんの位置までどれぐらいで着く!?」
「ん?そうだなあ―――20分ぐらいだな。それがどうした」
「時間がない!半分の時間で来てくれ。じゃないと取り返しの付かないことになる!じゃあね!」
「弥登!?どういうこ」
電話を切りポケットに入れて全力で走り出す。走るのは苦手だがパルクールは練習した。狭い道を走り、塀を越えてショートカットする。
慌ただしく動くGPS、ストーカーの被害。クラス内の話で春川さんは夜が苦手でもない。電車で学校に来てない。では答えは?
「間に合ってくれよ………!」
手遅れにならないように。それだけを祈りながら夜の住宅街を走るのだった。
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