夢の中

 夢を見た。

 今よりも小さい頃、僕はまだガキだった。

 逆として考えたらヤンチャだったし、近所の人達に優しくして貰ったけど、毎日のようにお母さんを怒らせてたから、きっとガキだったんだと思う。


 小学生の時、お父さんがしてた仕事は危険なものを運ぶ危ない仕事で、ある日骨が折れた。

 同僚を庇って怪我したと笑いながら喋っているお父さんを見て疑問に思った僕は、質問をしたんだ。


(父さんが怪我したのに、何で笑顔で居られるの?)


(弥登、あいつは、前に俺を助けてくれたんだ。

 飲み物を奢ってくれただけだとしても、俺を助けてくれたんだ。その恩をやっと返せたんだよ。)


その時のお父さんの顔は、とても嬉しそうで………


僕はそんな父さんの顔を見てると嬉しくなって……


(じゃあ僕も!助けられたらその人に恩返しをするよ。そしてお父さんにも恩返しするよ!)


そんな事を言ってた。


(………そうかそうか!お父さんは、弥登がいい子に育ってくれて嬉しいぞ!)


 そう言って僕の頭を撫でてくれるお父さんが……お父さんの手がとても大好きだった。


(その前の母さんに謝って来ること。怒らしたならちゃんと謝る。大事な事だからな)


(…………………ハイ)


(心配するなよ。ちゃんと謝れば許してくれるからよ。)


 そういうお父さんの目はとても優しかった。


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