番外編 金谷千歳のぷにる観
また次の日。和泉の膝の上で、ぷにるってアニメの原作全部読んだ。
『コタローって……ぷにるのこと相当好きだな!?』
「お気づきになりましたか」
和泉はなんか嬉しそうだった。
『でもぷにるの方は友達の好きで、恋人の好きは全然ないのな』
「こっからどうなるのかねえ、ここからビターエンドに持っていくのも全然できちゃうからねえ」
『ビターエンドってなんだ?』
「ハッピーエンドって言えない、ちょっと苦い終わり方ってこと」
『そっかあ、ぷにる、神様にやられちゃうかもしれないし、バッドトリックもぷにるのこと狙ってるしなあ』
神様は友達のいないコタローのためにぷにるを遣わせたから、コタローに友だちがいる今はいつぷにるが用済みにされるかわからないし、バッドトリックは影の力さえあればぷにるを乗っ取って自分の体にできちゃうし。
「そう、前途多難なわけだよ」
和泉は頷いた。
『でもコタローの思いが通じるといいなあ』
「……千歳は、ぷにるの方に感情移入するかと思ってたんだけど」
『え? なんで?』
主人公はコタローじゃないか。なんでぷにる?
和泉は言葉を探してるみたいだったけど、やがて言った。
「なんというか……性別がなくて、自分で恋愛やらないところが同じだから」
『あー、確かに言われてみれば』
でも、同じところがあるから感情移入できるってわけでもないもんなあ。
『でもぷにるにはなりたくないな、小さい頃からずっと一緒だった友達が、大きくなったらつっけんどんでそっけなくなるとかやだ』
コタロー、ぷにるへの接し方割と乱暴だし。
「コタローもまだ大人じゃないからねえ、もう少し大人だったらぷにるを普段から大事に扱うかもだけど」
『コタローが大人になるまで、ぷにるいてくれるかなあ』
「いてほしいね。……俺と同じになるかもしれないけど」
『え? どういうことだ?』
大人になったコタローが和泉と同じになる?
『えっ、ブラック企業で体壊してひどい目に遭うってことか?』
なんでそうなるんだ?
「あっいや、そういう意味じゃなくて」
『えっ、じゃあどういう意味だ?』
「いや、まあ、俺は大人として振る舞うほうがいいな、となんとなく思っただけ」
『?』
今のがどうしたら和泉が大人なのにつながるんだ?
うーん、でも、コタローが大人になって和泉みたいに優しくていい奴になったら、ぷにるにも優しいだろうし、そしたらぷにるも毎日楽しいだろうな。
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