第18話 冷凍コンテナ殺人事件
その死体は小型の冷凍コンテナの中にあった。男は裸の状態で首を紐で絞められて殺されていた。衣服は近くに折り畳まれていた。
❄ ❄ ❄
「ガイシャはスーパーの鮮魚部主任・
「……うーむ、仏さんが冷凍保存されていたんじゃ死亡推定時刻を割り出すのに難儀するな。そうだ、胃の内容物から死亡推定時刻を特定できないのか?」
「それは僕も考えたのですが、残念ながら無理でした。陰能は死亡する12時間前から食事を摂っていなかったようで、胃の中は既に空っぽ。おまけに腸の中まで綺麗なものでした」
「……そうか困ったな。それでは死亡推定時刻を元に容疑者を絞り込むことができないじゃないか」
「ええ、弱りましたね」
「よし、こうなったら最後の手段だ。エリカちゃんを呼ぶぞ」
そう言って工口はやはり
❄ ❄ ❄
「犯人、わかったんだけど」
白いダッフルコートに金髪ショートの黒ギャル探偵は事件現場に到着するなり、可愛い顔でニヒルに笑った。
「エリカちゃん本当か? まだ殆ど何も情報出てないと思うんだけど」
登場と同時に勝利宣言するエリカ。これには工口と朝立も困惑するしかない。
「そんなことないよ。被害者の陰能はゲイで受けの方。犯人は陰能の恋人で攻めの男だよ。冷凍コンテナの中に呼び出して、この中で二人で暖め合おうとでも誘ったんだろうね」
「何でそんなことがわかる?」
「まずは冷凍コンテナの中で死体が裸なこと。殺してから服を脱がすのは大変だし意味もないから、陰能は自分から服を脱いだんだ。そして胃の中はおろか腸の中も綺麗なこと。陰能は朝食を控え、浣腸でお尻の中を洗っていたんだ」
「そうか、腸の中が綺麗だったのはアナルセックスをする為だったのか! チンポをアナルに挿入してうんこが付くことを嫌ったのだな」
工口警部はエリカの見事な推理に膝を打つ。
「……犯人は陰能広重の乙女な性格を利用して冷凍コンテナに呼び出し、死亡推定時刻をわからなくして殺したんですね」
朝立は被害者の心情を慮り、しんみりと呟いたのだった。
その後の調べで、同じスーパーで働く精肉部の
こうして事件は一件落着。今回も難事件であった。ふぅ。
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