第103話 ペア岬の調査
異世界生活16日目。月の半分が過ぎた今日は、ペア岬の調査へと繰り出しています。昨日の夜はパーティーの途中で
米と発酵ついてだが、それについて今朝、某プリティーダービー娘が走り出すような衝撃の報告を2つ聞いた。まず1つ目は米についてだが、農業神であるイーシスから
「明日には米が栽培出来ますよ。<新種創造>で成長促進、魔力多含量付きの種籾を生み出したので、今日から栽培可能ですよぉ~。」
という衝撃事実を報告された。早速、農業神がその力を振るったようだ。その報告を聞き、いの一番に歓喜したのは僕ではなく、米米クラブ(※)の面々だった。
※チヒロさん、メルアさん、シャルティア、アスタ王妃、マリアさん、イーシスさんの6人の総称。
更に、2つ目の発酵については、魔法神であるツカネから
「<反応超促進>を創造魔法で創って、樽やタンクに付与しといたから、今日から『発酵、行きまーす!』という感じで発酵調味料とか造れるよー。」
というアカデミー賞確定レベルの報告を受けた。魔法神チート!チート過ぎる!僕の第一婦人は伊達ではない!
そういうことなので、米については今日中にイードラが精米機を数台作成し、明日には米と精米機の両方を王都と聖国の2国へと売りに出すという。発酵関連もそれに合わせて料理神であるチヒロさん監修でスイカが酒とともに製造するというプランニングだ。ちなみに僕はそういう内政ものについては全くのゼロスキルなので、米米クラブや発酵旅団(※)などに任せている。
※チヒロさん、スイカ、イーシス
そんな訳で、チヒロさんを除いた『女神の家』の面々はメノスさんの依頼であるペア岬の調査に向かっています。
「ここがペア岬の魔物の多発地帯ですか...。何だか、迷いそうですね。」
アカネの言うとおり、このペア岬。某伝説の迷いの森や某郷の迷いの竹林みたいに同じ景色の続く森となっている。この地点で難易度はA級であるが、そこに魔物の多発というサービスサービスぅ!が追加されるからか、この依頼はただの探索でS級が付いているのであろう。
「探索魔法!」
「<最上級探索>。」
「上から覗くのじゃ!」
...。正直に言おう。このクエストもラクラクとクリア出来そうだ。
「むむっ。ここから10時の方向!怪しい魔力反応確認!」
「同じく、その方向に反応あり!」
早速、ツカネ・アカネ姉妹が見つけ、例の地点へと向かい始めた。シラユキに至っては既に現場の方に着陸準備しているし。
「はぁ~。取り合えず、目印となる看板でも立てていくか。こういうことをしないと正確な報告は出来ないし。」
僕は後を追うことはなく、等間隔に看板を設置しながら<最上級探索>でヒットしている地点へと進んでいった。
◇◇◇
(???視点)
「全く、俺達の扱い悪いぜ、あのじじい。」
「おい!そんなことを言うな。もし何処かで監視でもいたら、どうするんだ!」
同時刻、ここに4人の男子で構成された冒険者パーティーが馬車で依頼された場所へと向かっていた。
「にしても『エプタ』か。全然聞いたこともねぇ国だな。」
「だからこそ、俺達で様子を見て報告するんじゃねぇのか。若い芽を摘むという意味で。」
「あーあ。折角建国したのに帝国に目を付けられちゃって。その『エプタ』の国の王も不運だなぁ...ケケケ。」
だが、彼らは知らない。『エプタ』は化け物の群生地帯で、彼らはその犠牲者第一号になろうとしていることを。そして、彼らの動向を密かに監視している者は目撃することになる。『エプタ』に広がる黄金色の絨毯を。
◇◇◇
<最上級探索>に従って、看板を設置しながら歩いて30分。ようやく女神様達に追いついた。そして目の前に現われたのは
「でっかい洞窟だねー。」
「<最上級探索>だとここから地下に向かって魔物の反応が段々と続いています。こんな反応はダンジョンしか見られません!」
巨大な洞穴であった。しかもそこから魔物がゾロゾロと一定量出現している。
「シラユキ。空から見た感じはどうだった?」
「うむ。その洞窟から離れるに従って魔物の数も少なくなるようじゃ。だが、ここまで辿り着くには少しばかり骨が折れると思うぞ。何らかの安全な通路を開通する必要があるようじゃぞ。」
成程。確かにここから魔物が放出され、このペア岬へと流れ込んでいるならば魔物遭遇率100%なのは間違いない。実際にここに辿り着くまでに数十体の魔物と交戦したからな。
「よし。それが分かったら早速、報告に向かおう。こういうことは一刻も早く報告するに限るからね。」
「いっくんがそう言うなら。」
「私達はそれに合わせますよ。」
「では帰りは...少し後になりそうじゃな。」
シラユキの言うとおり、1体の強烈な魔力反応があるな。しかもすぐ近くに。
「そこにいるのは分かっている。出てこい。」
僕は4時の方向に<ウインドカッター>を放った。
「ふぃぃ。まさかバレるとは思わなかったぜ。」
そんな台詞とともに現われる黒い影。それは、茶色肌をした男性の魔族だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます