第102話 王国と聖国の接待パーティー イベント編 トランプとファイヤーフラワー

パーティーも終盤。現在の料理の残機は次のようになっている。


寿司×5人前

鯛飯×8人前

五目炊き込みご飯×6人前

パエリア×9人前

海老ピラフ×8人前

ビビンバ×7人前

炒飯×とっくに残機は0よ

中華粥×瀕死手前

天津飯×ヤ無茶しやがって(「ヤ無茶さーんw」)


和風VS洋風VS中華VSダークライとの戦いは、中華の一人勝ちという結果になっている。


「それでは、今からシークレートイベントを開催しようと思います。」


「「「「「おおー!」」」」」


熱烈な歓声の中、<アイテムボックス>からとある物を取り出す。


「出したねー。」


「出しましたわね。」


ツカネとソールが僕の手にあるトランプを見て一早く反応した。創造魔法で創ったトランプ20セット分を各チームに渡し、ランダムで決めたトーナメント表を出す。


「それでは、第1回三国混同ババ抜き大会を始めます!司会と解説は僕ことエプタ穀王イチロウがお送りします!」


会場中はパチパチと鳴り響く。


「そして、この大会の1位~3位の景品について説明します。まず3位には本日お飲みになられた赤ワイン100本セットがプレゼントされます。」


これに食いついたのは、


「おらまぁ。それは魅力的な提案ですねぇ。」


「私も欲しいわねぇ。」


各国の母こと、アスタ王妃とサリア教皇だった。この会場で飲んでたのこの二人だったからなぁ。何かストレスでも...ああ、アスタ王妃の方は夫の戦闘好きに、サリア教皇は聖国の立て直しでストレスが溜まっているのか...。


「続いて2位にはオリハルコンで造られたこの漆黒の剣がプレゼントされま


「おお!欲しい。欲しいぞ。あれは俺のもんだ!」


やっぱり国王様が食いついたよ。戦闘好きにはたまらないからね。


「最後に1位には...」


ここで口が止まってしまう。だってさぁ、その景品がとんでもないものだったから...。ちなみにこの会場で、今か今かと目を光らせている者達が10以上います。しかもその人達は早く読み上げて読み上げてと無言で催促している。僕は勇気を持って続きを読み上げた。


「1位にはなんと

















『エプタ穀王イチロウ様と寝室で1日ラブラブし放題券』がプレゼントされます。これ作った人後で屋上に来い!」


いや本当にこの券を作った人には、呼び出して説教したい。呼び出し先生イチロウだ!


「魔法神の名にかけて、どんな手を使っても!」


「必ずあの券を射止めます!弓神の名にかけて!」


「我はイチロウさんの寵愛を受けし者、彼の調理者!我が使命はイチロウさんとの1日寝室生活に逆らう愚者を、その肉の最後の一片までも絶滅すること!」(CV.アンデルセン・チヒロサン神父)


「交わり、交わり、じゃ!」


「1日中、日本酒プレイ...」


「め、メイドとしてご奉仕を!」


「メルアでもこればかりは譲れませんよ!」


「いや、妹でも譲りたくはないね。」


「鎖で縛って、それからゴニョゴニョ...」


「こ、これを使ってアタイは、アタイは...。」


「うふふ。」


「3階にあった『姉と弟の禁断の楽園』、それを実践するチャンス...」


色々ツッコミ所満載な女神達の反応だが、まずはチヒロさん。ぶるぁと言いそうな声とエ゛ェイ゛ィメンッ!と言いそうな顔はやめて下さい。


次にソールとメティス姉にはどうか券が渡らないように願いたい。ソールは拘束からの一日中絞り取りだし、メティス姉については『禁断の楽園』というワードから既にヤバい気配がする。


そしてイードラはあの性格の割に初心な反応をしていて可愛い。


「それではババ抜きについて、そのルールが書かれたものを渡します。10分の読み時間と練習時間を与えますので、その間に準備をしていって下さい!」


◇◇◇


10分後に開催されたババ抜き大会の様子については端折って説明することとする。


1戦目はいきなりのアウラとシャルティアの姉妹対決。この戦いでは姉のポーカーフェイスの前に妹の方が四苦八苦することとなり、結果は姉が勝利した。慰めて欲しいという理由でシャルティアに寝室の方に連れ出されて1回分絞り取られたけど...。


そして正直に言います。僕はあまり司会と解説が出来ませんでした。何故なら、僕のファミリーで負けた人達が出てくると、司会兼解説の僕を寝室に連れ込まれては慰めとして絞り取られていったからです。そんなことがあって気づけば


決勝戦


ソールVSメティス姉


3位決定戦


アスタ王妃VSサリア教皇


となっていた。


「「「「...」」」」


悪夢。決勝戦の対戦相手の地点で、もうBADEND確定である件について。ああ、もう泣きたい、いや、泣かせてくれ...。


「それでは、決勝戦と3位決定戦、開始!」


◇◇◇


「フフフ。知識を司る私にそもそも頭を使うゲームをさせた地点でこうなることは決まっておるだろうに...。」


「キィーッ!自分で造った武器を自分で貰っても意味ありませんの!」


決勝戦はメティス姉の圧倒的勝利。勝因としては最初の10分でババ抜きをマスターレベルまで知識として覚え抜いたから。そして2位の武器の制作者はソールだったんだね。ギルアさん、3回戦でメティス姉に当たらなければ良かったものを。


「オホホホ。明日の訪問が終わったら、私達でこれらのワインを開けましょう。」


「ええ。そうですね。」


王妃と教皇の方はガシッ!と手と手を組んで、親睦を深めていた。3位はアスタ王妃が勝ち取り、明日からワインを開けていくらしい。


「それでは、今回のパーティーは2つ目のシークレートイベントで終わりを迎えたいと思います。窓の方をご覧下さい。」


僕の指示通り、全員が窓の方に目を向けると、


ピューッ!


バァーン!


と火花の絵が夜空に打ち上げられていた。2つ目のシークレートイベント、それは工芸神と武器神による合作、ファイヤーフラワーであり、ここにいる全員、この光景にしばらく目を離さずに眺めていた。

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