第91話 神奉の儀式 小悪魔な聖女からは逃げられないゾ♡
神が聖女にどんどん追い込まれていく様子をお楽しみ下さい。
ーーー
イチロウです。アリアによるお化粧攻撃により、
\(・ω・\)理性(/・ω・)/ピンチ!
な状態に陥っています。体からミルクのような香りが漂い、頭は既にクラクラな状態になっています。
「では、イチロウ様。いよいよ最後の段階へと移りましょう。」
アリアはしっかりと法衣を身につけ、最後の場所へと案内した。そこは、今までの壁画だらけの壁とは違い、一面真っ白な空間だった。あるのは、中央に置かれたベッド台座のみ。
「あの、アリア?つかぬ事を聞きますが、最後の項目というのは」
「...イチロウ様が想像していることで間違いありません。」
お互いに顔を赤色に染める。こういう時って、何故こうも緊張するものなのか?猫型ロボットとかグルグル先生とかならもしかしたら答えられるかもしれない。
「イチロウ様、参りましょうか。」
「...ああ。」
僕とアリアは指と指を絡めて、台座の方へと向かう。所謂、恋人繋ぎというやつだ。台座に近づくと、アリアは僕に、先に仰向けに寝るように指示する。あ、そうだ。
「<創造魔法:枕>。」
低反発の枕で、首の痛みを防いでおく。
「それではイチロウ様。最後の儀式について説明します。」
この世界にいる者には全て、魔力が宿っていることは周知の事実である。そんな魔力だが、魔力が集まって溜まる、言わば魔力溜まりという所が3カ所存在する。
1つは眉間の間とされ、ここで魔力を魔法へと具現化する器官が発達している。ここが発達すればするほど、魔法発動までのスピードもそれに比例して速くなる。
2つは胸の中心部とされ、ここで魔力を体内へと行き渡らせるための器官が働くとされている。この器官のつくりが主に、各個人で発現する魔法属性を決めているというのが現在の認識となっている。
そして最後の3つはへその真下とされ、ここで魔力を生み出ている。ここが発達すればするほど、魔力総量、すなわちMPもそれに比例して増加するという。
では、何故そんな話をアリアから聞かされたのかというと、
「これからお互いにこの3カ所を僅かなズレもなく合わせ、互いの魔力振動数を合致させていきます。これが成功すると、私とイチロウ様の魔力が共鳴し合い、互いに魔力を高め合ったりすることが可能となるわけです。そして、これこそが神奉の儀式の本命であり、聖女と神との契りでもあると聖国では伝えられています。」
つまりはこういうことである。だがこの儀式には当然、代償も伴うわけで。
「どうしてもあの体勢じゃないと」
「はい。そうです。これら3カ所を全て同時に合わせるには、私のハジメテをイチロウ様に...。」
だからこそ、僕はこの最後の儀式を行う前に、聞いておきたいことがある。
「アリアはそれで良いのか?引き返すならここが最後のチャンスd」
チュッ♡
いきなりキスされて、言葉を遮られる。
「その質問の答、これ以外でどうやってお答えすればよろしいでしょうか?母様のことでしたら、昨日で許可をいただいてきました。私の気持ちもとうに決まっています。」
健気な顔を浮かべたと思ったら、今度は先ほどまでの小悪魔的な表情へと変える。
「そもそも、大切な親友を救出していただいたり、ピンチになっている所を助けていただいたり、故郷を危機から救ったりしていただいたりしてもまだ恋をしない女性がいるでしょうか?その女性をここに連れてくることが出来たならば、この儀式はやめにしても構いません。まあでも、」
アリアはさらにその小悪魔な顔をずいっと近づける。
「もう最初に通った入り口は固く閉ざされているので、どう転んでもイチロウ様はこの儀式を受けざるを得ませんけれど♡」
そう言って、頬をペロリと舐められてしまう。なんてこった!やっぱりあの時に聞こえた扉の閉まるような音は、僕達を閉じ込めたという合図だったのか。
動揺してしまう僕だが、アリアは更に追い打ちをかけてくる。
「そ・れ・に♡昨日、約束しましたよね?今日は私の頼みに対しては『はい』か『YES』しか答えないと。更に言うならば、イチロウ様の服は私の服と同じ所に入れてしまっています。イチロウ様は、私の下着に触れてまでこの儀式をお断りしたいと。」
ガシッと恋人繋ぎと押さえ込みによって台座から離れることも防止されてしまい、僕はとうとう逃げ場を全て失ってしまう。
「というか、どうしてイチロウ様は枕を二つもお創りになられたのでしょうね?もう、イチロウ様の本心ダダ漏れじゃないですか///」
ウフフフと今度は小悪魔から魅惑的な表情へと変えたアリアから、残酷な事実を告げられる。
「安心して下さい。私に身を委ねていれば、12時間なんてあっという間に過ぎちゃいますから。」
待って?今、聞き捨てならない内容が聞こえた。12時間!?
「あ、申していませんでしたね。この儀式、互いの魔力振動数を合致させるまでとても時間が掛かるんです。なので、イチロウ様と私はここで一夜を過ごすことは既に確定しております♡」
ピタッと、眉間の間と胸の中心部が合わさり、後は残すところへその真下のみとなってしまう。僕はこの時のアリアの顔を忘れないだろう。
「それでは、私と熱い熱い情熱的な夜を今から過ごしましょ♡イチロウ様、いいえ、あ・な・た♡」
こうして、僕はアリアと恋のABCを一度に味わわさせることとなった。キスをする直前のアリアの顔、それはまさしく男を惑わして堕とす小悪魔そのものだった。
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