第90話 神奉の儀式 小悪魔な聖女によるご奉仕

イチロウです。神奉の儀式をすることは何となく察しはついていました。そしてもう一つ。僕は昨日、『女神の家』のリーダーの監督不届きとして、今日はアリアの頼みに対して『はい』か『YES』しか答えられない制約をかけられています。


つまり、今からここで内容の知らない神奉の儀式を行うことは決定事項であり、ある種の強制ルートに突入しているというのが今の現状です。


「それでは、イチロウ様。参りましょう。まずは祭壇にある2つの魔水晶にそれぞれの魔力を流します。」


アリアと僕は二人一緒に祭壇の所へと向かい、お互いの魔力を各球に込め始める。すると、祭壇が光を灯し、あの大きな十字架が二つに割れて開封し始めた。


「成功です。ここで、聖女の魔力とその相手の魔力が特定の波長どうしでないと開封しない仕組みとなっているのです。これは、私の<聖女の囁きセイント・ウィスパー>と同じ仕組みで、その条件を満たす魔力こそが」


「聖女が『生涯掛けて信仰すべき神デイアティ』と定められた神のものである、と。」


「はい。」


僕達二人は、十字架が完全に開封しきることで現われた目の前の通路を進んでいく。バタンと後ろの方で扉が閉まるような音が聞こえた気がしたが、気のせいだろう。


アリアが左腕でよしとポーズをしていたことにも気づかずに。


◇◇◇


次に現われたのは大きい天色の泉。足元には、藁で作られた籠二つがある。これ、完全にアレですね。


「クス。イチロウ様。」


隣からアリアが意地悪のような顔をして、修道服を模したドレスアーマーをシュルリと脱いでいく。これにより、清い身であることを体現したかのような白い肌が外に晒される。


「次は、泉に入って身を清めます。イチロウ様、まさかあの時のように服を着たまま魔法で押し進もうとはいたしませんよね?」


舌をチロッと出し、小悪魔的な笑顔をしてくるアリア。始めて見るその表情に、心臓の音は一瞬で最高潮に達してしまう。


「<創造魔法:洗じょ」


<洗浄>スキルでゴリ押そうと思ったが、浮島前の泉で教訓として覚えたのか、アリアは抱きつくことで集中を乱し、女の武器を最大限に用いて魔法の発動を妨害してきた。


「ダーメ♡魔法なんて意地の悪いことしないで、大人しく混浴しましょ?ここで躓いていると、ここから先は耐えられないと思いますよ?主に、イチロウ様のり・せ・い・が♡」


ウフフとアリアの白い手が、着物の帯の方にのびていき、


「そーれ、よいではないか♪よいではないか♪」


そんなご無体なー!と着物を脱がしていった。アリアが段々、友達であるアウラに似た雰囲気を纏い始めたぞ!?


「後は、イチロウ様の服をここに入れてっと。」


アリアは僕の着物を回収すると、自身のドレスアーマーと同じ籠へと入れていった。言い換えれば、没収。これにより、僕は混浴以外の選択肢を全て失ってしまったという訳だぁ!


ふーっふっふ。


あーはぁーはぁーはーっ。


うあぁーはぁーはぁーはぁーはぁーはっ。


ふぁっはっはっはっはぁーっ。


ひぁっはっはっはっはっはっ。


※イチロウ、錯乱マジキチ中!


「現実逃避も禁止です♡さぁ、体を洗って差し上げますね♡」


理性VS誘惑の戦いが今始まった。アリアの白い手が体中を這い回る。例えるなら、触手に捕まった姫騎士が現在の僕である。


バシャバシャバシャ


と何とか抵抗を試みるも、アリアの白い腕や足に自由を奪われ、なすがままになってしまった。


「ハハ...こんなにも汚れてしまったのですね、アハハ...。」


目から一筋の涙を流しているのはアリア...ではなく、僕ことイチロウ。


「泣いても仕方がありませんよ!さぁ、これに着替えて次の所へ参りましょう。」


「くっ殺せ!」


その後、肌着に近い白い法衣をお互いに身に纏って通路の先へと進んでいった。


◇◇◇


次に辿り着いたのは、化粧油のような透明な液体が溜まっている場所だった。


「次は、ここで身をより神聖なものへと変えていきます。」


あ、分かった。この液体を体に塗っていくわけだな。なら、これは一人で


「あ、待って下さい。この液体は塗りすぎると体に毒となります。」


ヘァッ!?危険物じゃないですか?何でそんな物騒なものが神聖な儀式の場にあるんですか?


「この液体の取り扱いを知っているのは、私のような聖女とその一部のみです。なので」


何故、手をワキワキしながら僕の方に近づいてくるんですかね、アリアサァン?


「私が塗って差し上げますね。体の隅々まで、しっかりと。さぁ、イチロウ様。どうぞ横になって下さい。」


もう好きにして下さい。そんな感じで横になる。


「では、いきますね。」


ムニュリッ♡


あれ、柔らかい?手の感触...じゃないよな?恐る恐る振り返ったが、そこには2つの大きな双丘を背中に押しつけているアリアの姿があった。


「あ、見ないで下さい。さすがに恥ずかしいです///」


僕はこの時に分かってしまった。神奉の儀式とは何なのか?神奉の儀式、それは

















という、そのままの内容を示す儀式であることを。

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