第86話 サリア教皇救出戦 緊張感の無いお出迎えと報告
「××様、××様。今日は何をして遊びますか?」
笑顔を向けた小さい女の子が誰かを呼んでいる。ここは...遊び場か。でも、記憶にはない場所だ。
「×様。あれのことは放っておいて、私とベッドの中で遊びませんか?今からでも...その...房事とか交接という言葉を実践しておいた方が良いかと...。」
隣からモジモジする別の女の子がお誘いをしてくる。というか、そんな年でそんなことヤっていいわけないだろ!
「××様!」
「×様!」
◇◇◇
(???視点)
厄神が消えましたか...。アハハハ!愚か。実に愚かです。あの方を怒らせて無事でいられる訳がないものを。さて、そんなあの方もとうとう目覚め、その位置をキャッチできたので一度だけ逢ってみましょうか...。そして、流れに任せてそのまま房事を...エヘヘへへへ!
何なんでしょう...。この何処かのクレイジーサイコヤンデレに似ている思考回路は...。
◇◇◇
ヴィシュヌに愛おしさを感じてしまい、結局、10年分も絞り取られてしまったイチロウです。いや、もうあの時のヴィシュヌは凄かったんです。いつもと比べて。
でも、彼女の瞳から1筋の涙が流れていて『アイシテル』のトーンもこう、ただ想いをぶつける感じから念願が叶って嬉しい感じへと変わっていたのは気のせいだっただろうか?
そんなことは置いておき現在、腰を回復魔法で回復し、<最上級探索>でツカネ達を探知しながら、目立たないように<隠蔽>しつつ、<飛行>で向かっています。もうDBだな、これ...。気を察知して、飛んで向かう感じの。
午後17時。到着したのは、まぁ概ね予想通りの大使館。プロスペリア王国の別居であり、聖国での『女神の家』の拠点となるこの建物の扉をくぐる。今は髪と瞳は黒に戻っています。
「ただいま。」
「「「「「「「「おかえりなさい、あなた♡」」」」」」」」
玄関に入った直後に女神様~ズとアリアに抱きしめられる。大量の双丘に埋もれて、息が...あがが。
「あ、皆さん。離れて下さい。イチロウ様がガクガクっとしています。」
アリアの一声で、女神様~ズが離れていく。後もう少しで、
【速報】聖国『レリッジ』でイチロウ(15)が胸中窒息死で死亡!
というニュースが流れる所だったよ。息を整え、全員でリビングの方へと向かった。
「やぁ、姫。帰ってきたんだね。すまない。本当ならぼくが姫の前に立って、お守りしなければならないのに。攫われそうになった姫をいち早く助けに向かわなければならないのに。...悪の手先の前で姫の姿を見ることもなく倒れてしまったのは勇者失格だ。」
が、そのリビングで僕に向かってアウラは土下座を決め、壊れたように謝罪の文を口にしていた。
「だからもう」
ん?聖剣を出して首の所に!?まずいまずい。
ひめはゆうしゃにむかってきすじゅつをはつどうした。
ゆうしゃにクリーンヒット!
「ひ...め...エへ...♡」
ゆうしゃはダウン...せずに、ひめのキスをうけとめた!
ひめはそうていがいのけっかにどぎまぎした!
ゆうしゃのきすがえし!
ひめにクリーンヒット!
ひめはダウンした!
ひめはゆうしゃにやられてしまった!
ひめはゆうしゃにはかてない!
「す、凄いです。あのテクニックに耐えられるなんて...。」
「ふ、ふん。少しは認めてやるわ...。」
<キス術>を受けたことのある
「あ、じゃあシラユキくんの尻尾をモフモフしても」
「調子に乗るでない!」
バキィーン!
シラユキの全力の尻尾薙ぎ払いにより、今度こそ勇者はダウンした。
(何なのだ、これは!どうすればいいのだ?!)
イチロウはそう心で思った。
◇◇◇
「ええ?じゃあ、レベル増強剤は聖国だけじゃなくて、帝国や魔界にもあるって!?」
ラペシュから聞いたことを皆に報告する。今回の依頼内容には『レベル増強剤』の根絶が含まれていたからな。このことも報告として伝える必要はあるだろう。
「ねぇ、これってさ、いっくん。ボク達は帝国と魔界に行く系のフラグが立ったってことだよねー。」
おいコラ、魔法神!ワクワクした顔で僕を見るんじゃない。
「やれやれ。お姉ちゃんはこういう冒険ものに弱いんですから...。」
「では、この2つの国にも鉄槌を下す必要がありますね。今すぐ向かいますか?」
お待ちなさい、アカネとチヒロさん。まだ話は終わってませんよ!
「では報告は、聖国での『レベル増強剤』の取引場所の取り潰しは成功したが、『レベル増強剤』は帝国と魔界の2つでも製造されている、といった感じになるのかな?」
アウラがそう結論づけていいかと僕の方に確認する。
「ああ、概ね間違ってない。まぁ、『神降ろしの間』はラペシュが爆発させてしまって、大元が無くなってしまったけれど。」
ガタッ!
「すみません、イチロウ様!『神降ろしの間』が無くなったのは本当ですか?」
アリアがいきなり立って確認を取ってくる。
「?ああそうだが、もしかして何かやっちゃった感じ?」
「Oh, my god...」
アリアは気絶した。アリア、応答しろ、アリア、アリア!
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