第31話 全てイチロウが悪いんだよ

新しい朝が来た。どうもイチロウです。昨日も夕食の後は6人全員に絞り取られ、絶賛、最上級回復魔法を掛けて回復しています。現在3日連続で絞り取られています。そろそろ普通に寝て起きたいが、あの調子では永遠に無理そうだ。


(男の夢だろ贅沢言うな)


とか思っている人。確かに2~3人くらいならまだ耐えられると思いますが、5人からだと翌朝には下半身に絶大なダメージが残って大変なんだ。一度味わえば分かる。キリッ


「それでは、行きます。<ワープホール>。」


メルアさんが城の外に繋がる道を設置した。これで、僕達がこの城に入ったことは『女神の家』、シャルティア、メルアさんの面々だけだ。ちなみにシャルティアとメルアさんは、僕達が冒険者ギルドにおいて王女を貰うに相応しい程の功績を上げてから合流するようだ。それにもし僕達に会いたいときは、メルアさん達の方から<ワープホール>で直接会いに行くという。それとチヒロさんはメルアさんから通信魔法道具を渡されていた。どうやら白飯について、これから2人でディベートしていくらしい。


「暫しの別れですね、イチロウ様。」


シャルティアが今生の別れみたいな挨拶をする。いやいや、いつでも会えるって。だが、その表情はコロッと変わり、お腹の方をさすり始める。


「でも、大丈夫です。今この時も、私の中にイチロウ様が流れ込んでいるので、寂しくはありません。私、しっかりと我慢します。なので、イチロウ様は私のことなど気にせずに冒険を楽しんで下さい。」


ああ、健気だ。この短期間で、僕は彼女に惹かれ始めている。日本では、浮気者とか言われて包丁で刺される案件だろうけど。これから彼女には種族や体質のことなど関係なく、幸せになって貰いたいものだ。


「いっくん。ボク達のことも忘れてはいけないよー。」


ああ、そうだな。もう僕は特定の誰かを贔屓せず、全員平等に愛さなきゃならないよな。強制的にそうなったけど。


「それではそろそろ行きましょう、お兄ちゃん。」


アカネ、チヒロさん、シラユキ、ツカネの順に<ワープホール>をくぐっていく。それに続いて僕も出ようとするが、左手を引っ張られる。そして、シャルティアとメルアさんにそれぞれキスされた。おっとこれは挑戦状かな。<キス術>を発動させて、2人の腰を砕かせてやる。


「フ...ヘヘへ...♡」


「...幸せ...♡」


2人は痙攣しつつも手を振ってきたので、今度こそ僕は<ワープホール>をくぐっていった。


◇◇◇


では、本日の活動をおさらいしよう。ギルドです。ギルドに行って、ランクアップ試験、王金貨3枚の受け取りを中心に動きます。僕達は早速、王都の冒険者ギルドへと進んだ。進んだのだが、


「何故道行く皆がわざわざ道を開けて、頭を下げているんだ?」


僕の疑問に対して、4人はそっぽを向く。一体何をやらかしたんだよ?女神様達ィ!でも、僕は聞かない。敢えて聞かない。だって、絶対に碌な事ではないから。世の中には知らなくてもいいことがある。


「ボク達がいっくんを救出しに行った際に<女神の御言葉>を使いまくったからかなー。」


「あの時は、お兄ちゃんのことしか考えていませんでしたからねー。あははは。」


「いいんです。アレは完全に向こうが悪いので、これは当然の帰結です。」


「フハハハ。婿殿のお通りじゃー。」


もうやだ。この女神達ひとたち。どうしてこうも僕のことになると、周りのことなどお構いなく引っ掻き回すんだよぅ。お腹痛い。王都でゆっくりと成り上がっていく冒険のテンプレがまた崩れていくよぅ。


「いっくんが悪いんだよ。」


「お兄ちゃんが悪いんです。」


「イチロウさんが悪いんですよ。」


「婿殿が悪いのじゃ。」


だからその女神様による破壊活動じじゅうなしは全て僕のせいみたいなのは何なんだよぅ。この世界の命運はもはや僕が握っているようなものじゃないですかヤダー!


(ええ、そうですよ。イチロウさん。)


うわ、全能神様まで話しかけてきたよ!


(イチロウさんに害する者には裁きを!バレなきゃ犯罪じゃないんです!彼女達は私の定めた決まりを忠実に守っていますね。昇進でも考えておきましょうか。)


Noooo!それだけはやめて下さい。これ以上、女神様達を狂戦士化バーサークしないで下さい。


(では代わりにイチロウさんに<全能神の狂愛>でも授けて、子供を数億人産むまで出られない部屋で私と過ごして貰いますね。)


あ、冗談です。分かった分かった分かりました。その暗黒色のオーラに満ちた固有スキルを授けるのをやめて下さい。お願いします。


(よろしい。私も彼女達のことを可愛く思っているんです。それに私も出来ればイチロウさんと一緒に居たいのを我慢しているんですから、これくらいはさせて下さい。)


ヒェェェ、危なかった。あの固有スキルはヤバい。暗黒色のオーラがドクロを形成していた。あれが僕の中に入るとなると...駄目だ。想像してはならない。


僕は改めて、女神達の恐怖を味わいつつ、王都の冒険者ギルドに到着した。

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