第27話 メルアの正体
イチロウが第二王女様の魔の手にかかり、グヘヘな展開になる数分前。4体の
「ここがあの女の
「どうやら婿殿は城の地下の方に向かってるみたいじゃな。」
シラユキは、従魔登録により生じた魔力回路からイチロウの居場所を探し出す。
「ならば、いくよ。<トランスペアレント>。」
4人の女神様は透明となり、巨神兵から暗殺兵へと変化した。城門については竜化したシラユキが3人の暗殺兵を乗せて飛行することで突破し、扉ではなく上側の窓から侵入する。
「「「「シュタッ!」」」」
セルフ効果音とともに城内に侵入すると、シラユキの指示に従い、イチロウが連れて行かれた部屋の方へと向かっていく。地下に行くに従い、壁の色が白色から青色へと変化していくが、魔法神である彼女は見破る。
「この壁から魔力の流れが見える。この流れの先にいっくんは恐らくいるでしょう。」
この青色の壁の正体。それは、あの部屋のキラキラした粒へと繋がる魔力回路であり、夢魔の魔力波長をキャッチすると稼働する術式が刻み込まれた魔石だったのだ。その流れに従い、彼女達が地下を進む。そして、例の扉に差し掛かった時、何処からか<ファイアボール>が投げ込まれる。
「ここから先へは通しませんよ。」
4人の女神様の前にメイドのメルアが立ち塞がる。彼女達の姿を見て、これ以上の透明化は無意味と悟り、解除する。
「まさかこんな所で会うなんてね、魔神。」
「あなた達にはお見通しですか。お久しぶりですね。魔法神。弓神。料理神。そして、竜神。100年ぶりですが、ここの成果は...言うまでもありませんね...。」
「あ”あ”!?」
口から白い光が点滅している。シラユキの地雷に触れてしまったようだ。しかし、これはメルアの罠であり、挑発して時間を稼ぐ作戦であった。
「全ての
「竜神様。見え見えの挑発に乗らないで下さい。」
思えばこの竜神。料理神のような体の特定の部分が大きい者に対しては喧嘩腰になりやすかった。竜神と魔神の間に火花が散る。何とかイチロウ救出に引き戻そうとするアカネ。
「ならぬ。あいつ妾をバカにしようた……」
「取り消せですか...断じて取り消すつもりはありません。」
しかし、メルアはさらに畳みかける。
「...数千年もの間、何度もトライしようとするも理想にはなれず...何も得ず...!!終いにゃあ下界に降りて牛乳をあらかた飲み尽くし、この世界の牛乳の値段を一時期高騰化させる...!!実に空虚な人生ではありませんか?」
3人の女神はシラユキの方にうわぁな視線を送る。個人の我儘だけで食糧問題が引き起こされたのだ。無理もない。
「(黒歴史を話すのを)やめろ...!!」
「ハッ!のらないで下さいシラユキ様! 戻って下さい!!」
「シラユキさん。それはステータスです!希少価値ですよ!」
ツカネとチヒロもシラユキをイチロウ救出に目を向けさせようとするが、シラユキは全く聞く耳を持たない。それにしてもチヒロよ。
「あんたは黙っとれい!お主達にそれの偉大さの何がわかる!」
これが嘆きなのか。若干涙目でシラユキは世の不条理を訴える。しかし、
「女は魅力的でなければ 生きる価値はありません!」
「婿殿はそんな妾をも従魔に迎え入れてくれた。お前にイチロウという者の心の広さの何が分かるというのじゃ。」
シラユキは体を一回り大きくし、ブレスを吐く準備をする。
「これ以上は時間を稼げませんね。<ダークフレア>。」
メルアは闇属性魔法の黒い炎を放出させる。
「そんなもの、妾のブレスで消し去ってやるわ。カァァァ。」
これに対し、シラユキは白い炎で応戦する。その隙にツカネは<メガフレア>、アカネは<付与:ウインドアロー>をメルアに放つが、周りに闇で作った穴を出現させて、それらを吸い込んだ。これぞ魔神の十八番の闇属性魔法<ワープホール>。
「返しますよ。」
彼女達の頭上に出現させた<ワープホール>から先ほど吸い込んだ巨大な火球と風の矢が降り注いだ。ツカネが<魔力障壁>で防御し、その隙に弓神と料理神がそれぞれ矢と包丁を投擲する。
「フッ。懲りないですね。そのような攻撃は私には効かないと」
メルアは自分の前に<ワープホール>を設置し、それらを吸い込もうとするが突然、包丁の場所にシラユキが現われる。これは、包丁に予めツカネが転移魔法陣を刻み込み、そこにシラユキを転移させたからである。
「散々妾を罵倒した報いじゃ。<竜魔法:ホワイトゴッドブレス>。」
今までの怒りを全てのせた白い炎がメルアを直撃する。更にそのまま扉をも破壊して、部屋の中まで吹き飛ばした。これにより、部屋の中からピンク色の煙が漏れ出てしまう。
「うっ。何この匂い?」
「何だか頭がクラクラします。」
「それに心なしかムラムラしてきますね。もしイチロウさんが側にいると」
「遠慮無く交わってしまいそうじゃ。」
理性を働かせて、部屋の奥に向かう4人。そこで見たものは、
「ふぅ...ふぅ。イチロウ様。とても気持ちいいです。もっともっと私にあなたを感じさせて下さいませ。」
白い肌に黄昏色の髪を貼り付け、未だに絞り取りをしているシャルティアと、
「もうどうにでもなれ。」
何処か諦めの境地へと至ったイチロウの姿であった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます