第49話 戦いの終わり
再びルークは剣を構え近づいたら爆破されると思い遠距離から攻撃する。剣から黒い破片を飛ばして攻撃を試みるがその全てアダムの羽により防がれる。
今度は赤き刀身を伸ばして剣を大きくし遠くから剣を振るうがそれもアダムの翼で防がれる。剣と翼が衝突した衝撃で羽が宙を舞う。それらが一斉ルークの元へと飛んでいきルークの体に触れると爆発する。何とか爆発の衝撃で膝をついてしまうルークであったが再び立ち上がりアダムを睨みつける。
距離を空けては不利になる。そう悟ったルークは再びアダムへと肉薄する。ルークの最初の攻撃で片方の翼が機能しなくなり飛べなくなっているアダムには簡単に近づけた。
しかし、近づくと自滅覚悟でアダムは羽を爆破する。ルークはダメージが蓄積していくがアダムもまたダメージを受けている。
何度も何度も起きる爆発。それに耐えらルークとアダムであったが最初に膝をついたのはアダムであった。
「何故だ! 覚悟の無いお前に何故これほどまでに爆破に耐えれる」
ボロボロの体となったアダムはルークに問いかける。ルークは剣を構えがその問いに答える。
「覚悟はしている。幼馴染が死んだあの時に! 俺は世界を平和にするんだ!」
ルークは叫びながら剣を振るう。羽を爆破させ過ぎて殆ど羽の残っていない翼でアダムは防ぐがルークの剣の勢いを殺しきれずに峰が脇腹へと突き刺さる。
剣の衝撃でアダムは吹き飛び塔の壁へと激突する。アダムは白目を剥き力なく階段に倒れ込んだ。ルークはアダムとの戦いに勝利したのである。
アダムに勝ったと思うとルークは全身の痛みと疲労で膝をついてしまう。それでも必死に足に力を入れて立ち上がる。
急いで上へ向かわないといけない。そう考えながら重い足を動かしていく。ゆっくりであるが確実に一段一段上りそして最上階へ辿り着く。
最上階には直径1メートルほどの球状の遺物が光りながら宙に浮かびそれに触れる杖を持った修道服の女性がいた。
「貴方は確か王国の若き遺物使いですね」
修道服の女性は球状の遺物に触れたまま体をルークへと向ける。その女性は杖の遺物使い聖女ザスキアであった。
ルークは剣を握りしめてザスキアに向かい突撃くる。ザスキアに向かい剣を振るうが彼女に当たる前に透明な何かに衝突する。
「結界の魔法を張らせて頂きました。遺物が発動するまでそこで大人しく見ていてください」
結界の魔法はすぐに発動できるものではなかった。ザスキアはもしもの時のためにあらかじめこれを発動していたのであろう。
ルークは結界を壊さんと何度も剣を振るい攻撃するがその全てを結界は防ぎきる。何度も切り付けたため疲れで一旦手を止めて肩で息をする。
その光景をどこか呆れた様な表情でザスキアは眺めている。
「何故そこまでするのですか? もう少しで世界は平和になるんですよ?
人類、魔族すべての人々の心が一つになり、同じ考え同じ思考、幸福も不幸も全てが平等になる世界が訪れるのです。これほど平和な事はないでしょ?」
「そんな世界俺は望まない。みんなが違うから争いが起きるのかもしれない。それでも違うからお互いに成長できて、新しい世界が見えるんだ!」
ルークは再び剣を振るい結界へ攻撃を繰り出す。ザスキアはそれを涼しい顔で見つめがら言葉を発する。
「成長が何だと言うんですか? それは世界平和より大切な事ですか? 戦争を無くすにはこれしか方法はありません」
「俺は短い間だったが魔族と共に過ごした。そしてわかったんだ魔族とだって分かり合える事に! 無理に一つにしようとなんかせずに話し合えよ! まずはそれからだろうが!」
ルークは渾身の叫びと共に剣を振り下ろす。振り下ろされた剣は結界に衝突して結界にヒビが入る。そのヒビに向かい何度も剣を振り下ろしヒビを広げて行く。
「ば、馬鹿な」
その光景に目を丸くして驚愕するザスキア。ザスキアは周りをオロオロと見始めたが何かをする事なくヒビは広がり結界は壊される。
「頼むから対話することを諦めないでくれ。俺みたいな下っ端では変えれないかもしれないけど、聖女様ならできるだろ?」
ルークの問いかけに聖女は球状の遺物から手を離した。手を離すと遺物は発光をやめて床へとゆっくり落ちて行く。
「結界が壊された以上私の負けですね」
ザスキアはそう言うと階段の方へ向かい歩いて行く。
「私たちは何処か焦っていたのかも知れません。貴方のような方が人類に居るとは思いませんでした。結界を壊した事に敬意を表して魔族との対話頑張ってみますよ」
ざすきはそれだけ言うと階段を降りて姿を消した。
ルークはザスキア達の計画を止めれた事に安堵して地面へと倒れ込む。目を開けているのもやっとであり次第に瞼が重くなり目を閉じめしまう。
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