03-15 二月上旬 抗生物質と成人の儀
カゲクロで薬種商達から各種書式を受け取り、翌日からまとめに入った。
カゲシト内の薬種商からは適時書式が提出されており、全ての薬種について解説が書ける状況になっている。
一部、未だに提出していない薬種商もいるが、施薬院との取引に支障が出てもオレの責任じゃないからね。
提出してもらったとは言っても、そのままでは本にできない。
オレが一通り目を通して赤を入れ、場合によっては全て書き直す。
オレが未使用の薬種が大半だが、その辺りは薬術科講師から購入した教科書その他の文献が役に立った。
一番役に立ったのは、シノさんから借りた『始祖様謹製の薬術便覧』だけどね。
並行して、『高級薬剤』講義の教科書というか説明プリントも作成する。
これまで作ったのは、最初に『消炎鎮痛剤』、次いで『胃薬』。
胃薬については、『粘膜防御剤』と『酸分泌抑制剤・H2ブロッカー』を作っている。
そんで次は『抗生剤』を選択した。
現実問題としてカナンという世界で必要とされるのが、ここら辺なのだ。
高血圧とか、高脂血症とか、糖尿病とかいうのはゆとりがある世界でないと治療対象にはならない。
ちなみに、寄生虫薬に関しては魔草その他の『生薬』にいい物が存在している。
オレが薬術便覧を整理出版しようとした理由の一つだ。
そういう事で抗生剤の講義を始めた訳だが、これがなかなか大変。
消炎鎮痛薬でも『炎症』概念を教えるのに苦労したが、今度は『感染症』という概念から講義しないといけない。
あのねー、発熱して咳が出るのは『悪い気』ではないし『精霊のいたずら』でも『精霊の懲罰』でもないんだよ。
『細胞』や『細菌』という概念はあったが、結構、あやふや。
これを一から講義し直して、更に『細菌』の大半は植物細胞と同じで『細胞壁』という物が存在する事を教える。
そのために、植物と動物で細胞が違うことも説明する羽目に。
最後にその『細胞壁』の生成を阻害することによって、人体細胞には影響なく細菌のみを死滅させる仕組みを教える。
正直大変です。
これでもカゲシンは人族では最高の医療技術があるので、相当マシではあるのだ。
具体的に言えば『サルファ剤』、抗生剤の元祖みたいな抗菌剤だ。
シャイフやバフシュはこれの作製を習得している。
問題は、薬の現物と呪文はあっても理論が失われていたことだ。
このため、魔力量にゆとりのある魔導士でなければ作れない薬になっていたらしい。
しかし、需要は多い。
最大は、性病。
そう、カナンにも性病は有る。
つーか、『性病科』という科目というか講義がある程度に深刻だ。
教科書によれば梅毒が最多、続いて淋病。
この二つで教科書の大半を占める。
地球と同じものかどうか断定は困難だが、教科書の記述はそっくりだ。
カンジタ、ヘルペス、クラミジアもあるようだが記述は少ない。
AIDS、HBV、HCV辺りは記述すらない。
まあ、ここの無秩序交際状況で、この程度の蔓延で収まっている方が驚きだろう。
バフシュによれば、『サルファ剤』の大半が性病治療に使用されていたという。
作れる者が限られるので、いい儲けになっていたそうだ。
逆に言えば大半が性病用で、他には回らない状況だったとか。
更に、一部、サルファ剤の効きが悪い性病もあったらしい。
「いやあ、丁度良かった。
知り合いで質の悪いのにかかったのがいて、泣きつかれたんだよな」
バフシュが嬉しそうに言っていた。
二月四日と五日の講義では薬術便覧の事も含めて色々と話した。
予定外だったのは、次の自護院遠征実習である。
二月十四から十五日にまた演習場で開催予定だが、変なことになっている。
まず、施薬院の当番がまたもシャイフ教室になっていたこと。
種を明かせば先月の段階で、バフシュが二か月分まとめて請け負っていたという落ちである。
バフシュは二月もフロンクハイト勢が見学に来ると思い込んでいたのだ。
実際には、そんなことは全然最初から予定でもなんでも無く、勝手に思い込んでいたのが馬鹿なのだが、相手はそれに付け込んだらしい。
後から、騙されたというか誤解に気付いたバフシュが交渉に行ったが、「そもそも代わってくれと言ったのはそちら」、「勝手に思い込んでいたとか、うちには関係ない」と、けんもほろろに断られたらしい。
「そーゆーことで、キョウスケ、また頼むな」
先月と同じようにバフシュ・アフルーズは営業スマイル全開だ。
「今度は会場一か所ですから、先生が仕切ればいいじゃないですか」
「そうは言っても、美人見学者がいないんじゃ、やる気出ない」
清々しい程にクズだな。
「オレだって出ません。
いや、何でしたら、先生の権限で施薬院のテントにフロンクハイトを呼べばいいでしょう。
施薬院の実習に月の民を呼ぶのは許容されてるんですから」
「実は、もう一通り食べたから、どーでもいいんだよなぁ」
「はあ?一通りって?」
「ぶっちゃけ、侍女三人だ。
十三歳とはやってない。
代表の二人と守役のねーちゃんもまだだが、まあ頃合いだろう。
代表二人にまで手を出したらジジイがうるさいしな」
ちょっと待て、おっさん、何時の間にそこまで、つーか、手ェ早過ぎだろう。
頻繁に『歓迎会』に出ていたのは聞いてはいたが、・・・オレに回すって話はどーなったんだ!
コイツ、やっぱ、殺して良いんじゃないか?
いや、殺そう、今度こそ殺そう、今殺そう!
「ジジイがうるさいとは、どういうことか?」
気づいたらシャイフが立っていた。
うん、殺さなくて良かった。
「あ、え」
目を白黒させる三七歳男性。
「私が呼んだの」
そういや、隣にいたんだもんな。
「モローク、てめぇ、指導教官を売るのか」
「私たちの指導教官はシャイフ伯父様です」
冷酷に宣言するタージョッ。
いい加減、タージョッは味方ではないとバフシュは気づくべきだろう。
再び、連行されていく上級医療魔導士殿。
「バフシュ先生って、こっちの方面では学習能力ないよね」
タイジがしみじみと呟く。
「単に、馬鹿なのよ!」
タージョッ君、君には釣り人のロマンは分からない。
世の中には、陸釣りに命を懸ける人々がいる。
釣果は誇らねばならないのだ。
まあ、オレにも理解できんが。
「それより、キョウスケ。
自護院実習で、ボクの所にも変な話が来たんだよ」
タイジの説明にオレは首を傾げた。
「ああ、そうだ。
その者の言う通り、次回の自護院遠征実習は特別に前回と同じ参加者、同じ組分けで行うことになった」
タイジの話を姫様に聞いたら、『決定事項』として断言されてしまった。
「私が父上と母上に頼んだのだ」
誇らしげに宣言したのは姫様の側近二号ことクロスハウゼン・ガイラン・トゥルーミシュ。
父親は、あのクロスハウゼン権僧正で、母親はあの石垣ライデクラート隊長。
「モーラン・マンドゥールンも手を回したと聞いている。
そういうことで、次回は父上とモーラン隊長が視察に来ることになった」
モーランの父親はカゲシン牙族傭兵部隊隊長。
マンドゥールンは最近タイジに粘着しているらしい。
「私もゲレト・タイジも次回の遠征実習に参加申請はしていないのですが?」
カゲシト演習場でのお手軽遠征って、出席ポイントはそれなりだが、得るところが少ないように思うんだよね。
あと、貴族の参加希望者が多いので続けて出るのは禁止が暗黙の了解になってるのもある。
「心配しなくても、書類は受理されているはずだ」
いや、出してないのに、なんで受理されてんの?
「騎士側が有利とされる演習で、魔導士側に勝利されたままでは、我らの沽券にかかわるからな」
次は絶対に勝つと側近二号の鼻息は荒い。
そーゆーこと先に言っといてくれ。
相場が分かってたら、適当に善戦して負けてやったのに。
「いやー、楽しみ。私も、見に行くからねー」
「その、言葉遣いは何ですか!」
クロイトノット夫人の怒声が響き、ネディーアール殿下はペロっと舌を出して薬剤作製に戻った。
うん、やっぱ、かわいい。
和んでいたら、タージョッに足を蹴られた。
センフルールの誕生会は二月八日の夕方から行われた。
客は例によってオレとハトンの二人だけ。
食事は、相変わらずスバラシイ。
牛テンダーロインのパイ包み焼きも出た。
ダメ元で聞いてよかったよ。
地球でもそんなに食べた記憶は無いんだけどね。
ウィントップ産のウイスキーは、店にあった樽を買い占めてある。
シノさんには好評。
でも、コレ、牛肉に合うのかね?
まあ、喜んでもらえるのならいいのだろう。
誕生日となるとプレゼントだが、相談の結果、オレからのプレゼントはそれぞれの剣になった。
メイド長は「人族から剣を貰うなんて」と抵抗していたが、他のメイドだけでなくシノさんまでもが、「どんな剣を作らせるか」で議論しているのを見て陥落したらしい。
オレ自身やハトンなどを考慮すると合計十振り以上になる。
しばらくは毎晩、鍛冶小屋だろう。
シノさんたちからオレとハトンへのプレゼントについても議論になった。
オレは一月末に誕生日を終えていたし、ハトンは十二月生まれだ。
お返しに丁度良いという事らしい。
最初は、そんな物いらない、というか『生オッパイ一揉み』でシノさんと合意しかけたのだが、何故か、却下された。
だから、人の頭でワイン瓶を砕くのは止めろと。
で、オレへのプレゼントは服になった、らしい。
どんな服を作るか、素材とか、形状とかはシマが中心になって決めると言っていた。
・・・オレの意見は通らない、らしい。
ちなみにハトンは結婚式ドレス用の布を貰っていた。
絹らしいので、かなり高価だと思われる。
気になっていたリタの『成人式』、正確には『成人の儀』だが、・・・まあ、大したことは無かった。
カゲシンの人族女性では、『髪の毛をハーフアップにする』というイベントらしいが、月の民というかセンフルールではそのような風習は無い。
オレが石垣に襲われたようなイベントがあるのかと思ったが、単に成人に達した月の民の女性が男性の血を飲む、ただそれだけ、らしい。
しかしながら、ただそれだけのイベントでもそれなりに意味があると言えばある、らしい。
一つは、これ以降、好きに男性の血が飲めるということ。
「まあ、それ以前に経験している方が多いのです。
人族の男性も、成人の儀の前は女性と接してはいけない建前ですが、現実には『女性使用人』を連れて歩いているのです。
それと同じです」
フキがしたり顔で説明してくれる。
「ボクは真面目だから本当に初めてだよ」
妙にアピールしてくるリタ。
「じゃあ、フキはどうなんだ?」
「御想像にお任せするのです」
ニヤリと笑う毒舌青髪少女。
日本の大学生が成人前に酒を飲むとかと近いのかね。
「私としては、成人したら結婚の申し込みが自由になるのが問題でした」
シノさんがしみじみと言う。
何でも、成人と共に結婚の圧力が増加すると分かっていたので、成人を十六歳に延期したらしい。
「それで、成人の儀の三日後に留学に出発しました」
留学自体は事前に根回しして決めていたが、出発は不意打ち、強引に出てきたという。
「私は逆に十四歳でシノちゃんと一緒に成人したのよ。
成人前から婚約の打診がきてたから、ホント間一髪で逃げ切った感じね」
シマの成人は事前に予定されておらず、シノさんの成人の儀当日に無理やり追加で入ったという。
・・・すごい力技と言うか、結婚が余程嫌だったわけね。
何がどうなってんだろう?
「リタは一緒に来るって言い切ってたんだけど、当時は十三歳だったから流石に成人の儀は無理だったのよ」
シマがお姉さんぶって、リタの頭を撫でている。
いや、見た目、お前の方が幼いから。
身長も、何より胸も。
「それで、リタだけ成人してなかったって、ことか。
リタは早く成人したいってことだけど、去年は何故やらなかったんだ?」
「そりゃ、適当な男性がいなかったからよ。
誰でもいい訳じゃないからね」
オレを選んでる時点で、説得力が無いぞ、その話。
「基本的には一族の長老や有力者が務める役目なのよ。
実は、リタの成人の儀については国から、そのために戻って来いって話が来ててね」
「でも、ボクが一人で帰ったら、二度とこちらには戻れそうにないんだよね」
シノの説明にリタが補足する。
「リタは能力も有りますし血統もそれなりなのです。
帰国すれば婚姻が殺到するのは目に見えているのです」
「えーと、リタも不相応な相手しかいないってことか、その、シノさんみたいに?」
「流石にシノ様やシマ様みたいに相手が業突く張りのジジイだけってことはないよ。
ボクから見て、結婚していいって相手はそれなりにいるんだけど、それは認められそうにないんだよね」
業突く張りのジジイって、表現滅茶苦茶だな、コイツ。
「一族の危機とやらを名目にリタを抱え込もうとしている老害は少なくないのです。
私辺りが一緒に付いていったとしても、どうにもならないのです。
シノ様が一緒に行けばリタの結婚についてはかなりマシにはなるのです。
でも、そうしたら、シノ様の方が大変になるのです」
「だから、リタの成人の儀は一年延期って話になったのニャ。」
フキとフトがフニフニしながら言葉をはさむ。
二人はオレが試作した見本のショートソードをあーでもないこーでもないと、いじ繰りまわしている。
ところで、『一族の危機』って何かね?
「リタが故郷に帰るのが面倒てーのはわかったが、オレが頼まれた理由が分からん。
オレは長老でも有力者でもないんだが」
「キョウスケはボクに血を飲ませるのはイヤなの?」
妙にかわい子ぶってるな、コイツ。
「いや、今更、断りはしないよ」
料理も食べてるし。
「実は、成人の儀での男性にはもう一つのパターンがあるのよ。
ズバリ、恋人ね」
ハイ?
発言したシマをガン見する。
「女性が好みの男性にお願いするのです。
求婚の一種なのです」
フキの言葉に戦慄する。
「ちょっと待て。
じゃあ、何か、オレがリタに血を飲ませると求婚を受け入れたって話になるのか?」
「特にそういう訳ではありません。
女性が男性に愛を告白するというだけの事です」
シノさんが説明に入ってくれた。
「成人の儀で、血を与える役目については、頼まれた男性が断る場合もあります。
ただ、愛の告白というパターンの場合、断る男性は稀です。
男として名誉な事とされているからでしょう。
勿論、血を与える事と、夫人の一人として迎える事とはまた別の話になります」
「成る程、それならば、・・・」
「勿論、そのまま結婚する例も少なくありません」
あのね、・・・。
「まあ、うん、何となくわかった。
つーか、リタは本当にオレの事が好きなのか?
その、シノさんに命令されたからとかじゃなくて」
「うん、好きだよ。
『竜』を無詠唱で使えるって段階でボク的には基準クリアーって感じかな。
それに、作った剣を見せればうちの長老たちも、無視できないと思う。
キョウスケならセンフルールに行っても幹部待遇は間違いないよ」
意外と、しっかり考えてるんだな。
「あと、ぶっちゃけ顔は好みだし、体格もいいよね。
こっちの標準から言えばちょっと細めだけど、ボクはこの方がいいかなぁ」
「ま、まあ、顔は悪くはないわね」
シマがそっぽを向いたままボソッと呟いた。
聞こえちゃったけど、聞かなかったことにしとこう。
カナンに来て、顔面偏差値が向上したのは気づいていたが、もう、それで得意になる年齢ではないんだよね。
つーか、ツラの良さで釣られる女なんて碌なもんじゃない。
「決め手は、こないだの自護院実習だよ。
キョウスケすごくカッコ良かったから。
年齢も、貴族としての階級も上の人ばっかりだったんだけど、あっさり、従えちゃったんだよね。
そんで、模擬戦でも勝っちゃうし。
あれは、良かったなぁ」
うーん、そうか。
そこら辺褒められるのは、まあ、うれしいかな。
リタはキラキラした目でオレを見つめている。
真っ赤なストレートの髪とピンク色の瞳。
ネイビーブルーを基調としたミニスカメイド服も似合っている。
身長は一六〇半ばぐらいあり、シノさんに次いで高い。
胸もシノさんに次ぐEカップだ。
うーん、素直に美人だ。
正直、好みだ。
問題は、・・・隣に上位互換の黒髪がいることかな。
でも、まあ、上を見ればキリがないってーのはある。
取りあえず、儀式を断る必要は無いな、うん。
食事が一通り終わり、リタの儀式が開始された。
何か、シノさんが、訓示とか真面目な事を言っている。
こーゆー儀式って、古今東西、あんまし変わんないよね。
で、オレの出番になる。
リタに一言、「おめでとう」と言ってから左腕を差し出す。
リタが嬉々として手首に噛みつき、血をすする。
例によって例のごとく、オレは意識的に血管から血を噴出させる。
意識して出さないとすぐに止まっちゃうんだよね。
我ながら変な体質だよ、全く。
血液に含めるマナは極力薄めだ。
その気になればかなり濃くできるが、これも濃すぎると騒ぎになるだろう。
薄目でもシノさんやシマは満足してたから、それでいいだろう。
いや、最近は少し濃いめになっちゃってる気はしてるんだけど、・・・二人とも血を吸うときの座る場所が以前より近くなっている、気がするのは、・・・気のせいか、・・・いや、別に構わないんだけどね。
そう、全然、構わないよ、うん。
リタ君には、極力薄めに、・・・って、リタ君、何してんのかな、・・・その、・・・当たってるんですが、・・・オレの左前腕に、なんつーか、そのリタの胸のあたりの上の方が。
偶然?
イヤイヤイヤ、いくら何でも不自然でしょ。
君、意図的に押し付けてない?
そんなこと、やっちゃいかんでしょ。
びっくりしたオレがリタを見ると、目が合った。
リタは、オレの腕から口を放すとニコーっと笑う。
何となく、釣られて笑う。
次の瞬間、彼女の右手がオレの右手を引っ張った。
押し付けられる。
同時にリタの吸血が再開された。
えーと、オレの右手の手のひらの中に、弾力のある物体が、・・・。
まあ、揉むよね。
これは仕方がない。
手掌把握反射という奴だ。
成人男性なら必ず起こる反応だ。
教科書にも載っている。
しかし、Eカップの胸って、地球時代にも居るようで居なかったというか、なかなか揉める機会は限られていたというか、そもそも十五歳になったばかりの子のEカップなんて犯罪以外で揉めるはずが無いというか、・・・。
殴られました。
殴ったのは勿論、狂暴な愛玩動物さんです。
「あんたら、何やってんの?」
大層、お怒りです。
ちなみにリタも一緒に殴られてました。
殴ったのはメイド長です。
「神聖な儀式を自ら台無しにして、何を考えているのですか?」
こちらも偉くお怒りです。
「それで、今の行為は何だったのです?」
普通に聞いてくるのがシノさんだ。
「あのですね。
キョウスケの血なんですけど、飲んでる途中で胸を押し付けるとマナの濃さが倍になります。
そんで、胸を揉ませたら更に倍になったんです!」
「ほう、それは興味深いですね」
「んな、馬鹿な事があるわけ無いでしょう!」
妙に冷静なシノさんにシマが突っ込む。
「体内に蓄積するマナ量は変化するけど、体が作るマナ量は変化しないのが常識でしょ。
だから、血液に含まれるマナ量も大きな変化はない。
そりゃ、成長に伴って段々増えていくのは有るけど。
胸を揉ませたらマナが増えるって、馬鹿にしてない?」
「キョウスケですから」
「その、キョウスケだから、何でもアリって話、いい加減に止めようよ」
頭を抱えるプラチナ美少女。
「でも、横から見ていても、キョウスケのマナが一時的に増大したように見えました」
「それは、・・・確かにそんな感じは、したような、・・・」
シマの歯切れが悪くなる。
「そういうことで、検証しましょう」
やおら上着を脱ぎだす黒髪美女。
「シノちゃん、ちょっと」
「シノ様、お止め下さい」
シマとメイド長が焦る。
「検証は分かりますが、シノ様が服を脱ぐ必要はありません」
「いえ、この中で、リタより胸が大きいのは私だけです。
ですから、私が試すべきです」
「ですから、少なくとも服を脱ぐ必要はないと」
「リタの理論が正しければ、生で揉ませた場合はより効果が見込めると考えます」
う、何という、スルドイ、いや、スバラシイ、いや、スサマジイ、正し過ぎる理論だ。
オレ、これまでも興奮するとマナの発散量が増えてたからな。
事前に分かっていれば精神的動揺を抑えることで、マナの発散量も減るとは思うが、・・・十八歳Fカップの生ですか。
強力過ぎる。
個人的には正面突破される自信がある。
逃げるべきか、・・・いや、でも、どうせバレるのなら今でもいいような、・・・しかし、外見は兎も角、精神的にはアラフォーのオレが十八歳小娘の乳に釣られるなどという事があっていいのか、・・・。
「センフルールの姫が人族の男に生で胸を触らせるなど、あってはなりません。
常識で考えなさいませ!」
迷ってるうちにメイド長が切れていた。
「キョウスケに対しては、今更でしょう。
ミスズだって目の前で、裸で踊っていたではないですか」
「え゛」
凍り付くメイド長。
「私が、人族の前で、裸で、―――」
「年越しの時はブランデーたくさん飲んだから仕方が無いよ。
熱かったからねー。
ボクも脱いだし」
ミスズさんの顔が赤から青へ、また赤へとめまぐるしく変化する。
「あ、ミスズ、大丈夫だから、下着は付けてたから、それは私が死守したから」
シマ君、それトドメだよ。
「あぁ、うあ、あう、はう、あう、・・・・・・」
もはや、周囲の認識が出来なくなっている。
ハトンが怯えた顔でしがみついて来た。
「まさか、ミスズがこうなるとは」
「いや、シノちゃん、これは想定通りだよ」
シマって意外と苦労してるのかな。
「仕方が無いのです。フト」
フキがフトに声をかけて色々と崩壊したメイド長を引きずっていく。
「そーゆーことでぇ、今日はお開きにしまぁす」
ハナの言葉で宴会、というか儀式は終了した。
『成人の儀』がこんなんで良かったのかな?
まあ、・・・悪くもないけど。
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