第085話 心・空

 激しい雨に打たれていた。

 ずぶ濡れになって、涙も雨も解らなくなった頃、後ろから傘を差しかけられる。

 黙ったまま微笑むあなたの顔を見たら、なぜだろう、心を塞ぐ重い鉛がすっと消えた。

 そうだね。いつまでも泣いてちゃいけないね。

 いつの間にか雨は上がり、見上げた空に虹がかかっていた。

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