第031話 名前・不機嫌

「お母さん」と呼んで妻を不機嫌にした。最近名前で呼ばれないと言うので、改める約束をしたのに。

 お詫びにケーキを買って帰った。

「お土産だよ。お母さんの好き……」

 しまった。

 妻は苦笑し「コーヒー淹れるね、お父さ……」と言い、慌てて口元を抑えた。

 ああ、長年の習慣とは恐ろしいものだな。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る