第14話 Eランク冒険者

 冒険者ギルドから帰ってきてすぐに、俺は疲れて寝てしまっていた。


 ちゃんと寝る前にシルフィードを使ってMP枯渇はさせたけどね。


 そして今日は休養日。


 昨日の夜にジークからマリアに昨日の出来事を報告したらしい。


 昨日会議しようとしたらしいが、俺が寝てしまったので今日になったとの事だ。



 今日はアイクと剣術の練習をした。


 ステータスではいい勝負なんだが、全く歯が立たない。


 それに昨日はアイクもレベルが上がって6になっていた。


 本当にアイクは優秀だ。いずれ剣聖とか呼ばれるのだろうか?


 いや才能は槍のほうが高かったから槍聖か……


「やっぱアイク兄には勝てないや」


「そんなことない。3歳のころの俺と今のマルスが戦えば俺は何もできずに負けるよ。いずれマルスは俺よりも強くなるからな。俺は頑張って少しでも兄の威厳を保ってないと」


 こんなことを言ってくる。いやマジでできた兄なんですけど。


 お昼ごはんを食べてMP枯渇させてから寝て、起きた時にジークとマリアに呼ばれた。


 これから家族会議をするらしい。


「さて、マルスも起きたことだし、昨日の話をみんなでしようか」


 ジーク、マリア、アイクはすでにテーブルに着いていた。


 俺もテーブルに着くと家族会議が始まった。


「まず昨日の報酬の話をしよう。この報酬は3人で達成したクエストだからちゃんと分ける必要がある。と言っても子供のお前たちにそんな大金を渡すつもりは無いが」


「僕は、昨日火の腕輪を頂いたので、報酬はいりません。どうしてもというのであればマルスに与えてください」


 アイクがそう言うと俺はかねて欲しいものを言った。


「それでは僕は火魔法の初級魔術書を貸してほしいです。もしもあるのであれば水と土も貸してほしいです。ファイアとかできなくても少しだけ火が出せるようになれば、それだけで冒険が楽になりそうなので。また昨日のゴブリンメイジは土魔法の才能がGにも関わらず魔法が使えるようでした。僕も可能性があるのであれば試してみたいです」


 これには全員びっくりしていた。


「初級魔術書ならあるから今すぐにでも渡そう。全くお前ら兄弟は欲が全くないな。では遠慮なく昨日のギルドからの報酬は俺がもらうぞ。その代わりにお前たちに渡すものがある」


 そう言うとジークは俺とアイクに1枚ずつカードを渡してきた。


「これは冒険者カードだ。昨日言われた通りEランクの冒険者カードだ。身分証明書代わりにもなるから絶対に無くすなよ」


 ジークから冒険者カードを受け取った。素材は銅でできているらしい。


 ちなみにランクによって素材が違うらしい。


 Aはアダマンタイト

 Bはミスリル銀

 Cは銀

 Dは鉄

 Eは銅

 FとGは紙


 FとGランクは冒険者カードが紙という事もあってペーパーと呼ばれているらしい。



「さて今後のことなんだが朝ギルドに行って話をしてきた。ギルドマスターとアルメリアの領主のカーメル伯爵と3人でだ。そしてこう言われた。廃村の近くに冒険者何人かと移住してくれないかと。もちろん報酬は弾むとの事だ。


明日カーメル伯爵自ら王都に向かう事になっていて、今回の迷宮の件を報告するらしい。その時に男爵の任命権を頂けるように交渉し、任命権を頂けたら俺を陞爵するとのことだ。


ただ俺は統治をする器量は無いと断ったのだが、あくまでも迷宮の管理だけをしてくれとのことだったので、検討させてくれと言って帰ってきた。


男爵と準男爵では天と地の差がある。まず継承権がある。迷宮管理費として伯爵からお給金ももらえる。そして煩わしい統治をしなくてよく、迷宮探索も今まで通りできる。皆はどう思う?」


「私はとてもいい条件だと思うわ。ただ一つだけ。何人くらい移住するかよね。正直私たちだけでは何かあったときに手に負えないわ」


「僕もとてもいい事だと思います。受けるべきかと」


 とアイクもいう。そして俺も一つだけ条件を付けて賛成する。


「僕もみんなの意見に賛成です。ただ1つだけお願いがあります。男爵の継承権につきましては、僕は最初から辞退致します。まぁ最初からアイク兄で決定だと思いますが、僕は家族や兄弟で争いたくないです。手を取り合っての競争でしたら歓迎しますが、相手を陥れての競争は絶対にしたくありませんので」


 するとアイクも


「実は僕も継承権を辞退しようと思っていたのですが……自分の力でやってみたいというのが1番の理由です。最悪リーナが女爵というのも考えて頂ければ……」


「お前たちは本当に欲が無いな。まぁその考えは父さんとしては嬉しい限りだ。まぁ継承の話はまだ先の話だが、男爵と移住の件はセットだからな。まずは何人移住するか、実力者はどのくらいいるかの確認だな。あと指名クエストは引き続き頼むと言われたから明日からまたゴブリンを倒しに行くから気を引き締めてくれ。あと馬車は指名クエストを受けている限りは無料でずっとレンタル出来るようになったからな」


 明日からまたゴブリン狩り。


 時間があればファイアとウォーターの練習をしたい。



 翌日いつものように家を出ると武器屋に連れていかれた。


 俺の装備を買うためらしい。


 ただ3歳なのでいくらステータスが高いといっても剣は大きすぎて持ち歩くのは避けたい。


 そう思っているとどうやら短剣を買うようだ。


 ジークにどれがいいか自分でも探してみろと言われたので、いろいろ探してみる。


【名前】鉄の短剣

【攻撃】4

【価値】F

【詳細】-


【名前】銀の短剣

【攻撃】6

【価値】D

【詳細】-


 まず物価が分からないから、どれを選んでいいのか分からない。


 この店で一番の目玉と言われている短剣は


【名前】ミスリル銀の短剣

【攻撃】9

【価値】C

【詳細】装備者の魔力を通しやすい短剣。


 確かにこれは良さそうな気がする。


 そう思って色々見ているとジャンク品売り場みたいな所にこんなものがあった。


【名前】風の短剣シルフダガー

【攻撃】2

【特殊】魔力+1 俊敏+1

【価値】C+

【詳細】装備すると体が軽くなる特殊な短剣。短剣に風魔法を付与エンチャントすると攻撃力と俊敏が少しあがる。


 これ俺にちょうどいいじゃん。この扱いだったらあまり高くないのかも。


「お父様これがいいですけどダメですか?」


「店主、これの性能を教えてくれ」


「ああ、それは攻撃力2のジャンクだ。銀貨1枚でいいよ。包丁代わりにでも使えるさ」


「マルス本当にこれでいいのか?」


「はい。これがいいです」


 そう言ってこのシルフダガーを買ってもらった。


 俺の初めての装備品だから大切にしよう。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る