第7話 家族会議
迷宮からジークとマリアが怪我をして帰ってきた夜、いつものようにご飯を食べてから俺は魔法の練習をしようとしていた。
子供用の椅子から腰を上げようとするとジークが「ちょっと待て」と言い俺が離席するのを止めた。
家族4人でテーブルを囲んでいる。
するとジークがこう切り出した。
「今からブライアント家の家族会議を始める。議題はアイクとマルスの今後だ」
俺とアイクは顔を合わせる。
するとアイクが
「どういった内容ですか?」
と尋ねる。
「まずお前たちに父さんと母さんの仕事、つまり冒険者としての立ち位置や戦闘スタイルを教えようと思う。父さんと母さんは二人で【
主に俺たちが住んでいるアルメリアの
ランクというのはG〜Sまである。まず冒険者のランクだが、G、Fランクは駆け出しでEランクが基本、Dランクが中級でCランクが上級、Bランク以上になると叙爵されたり、騎士団や魔術団の幹部に取り上げられることもある。ここまでで何かわからない事や質問などあるか?」
するとアイクが
「Sランク冒険者ってどうやったらなれるんですか?」
と聞く。
「Sランク冒険者にどうやってなるかは俺もわからない。何せ俺もBランク冒険者までしか見たことがないからな。王都やもっと大きな迷宮都市に行けばいるのだろうが。
先ほどの話の続きになるがパーティを組むメリットは例えばDランク冒険者が4人いるとしよう。1人ではCランク以上のクエストを受けられなくても、4人でパーティを組んでCランクパーティになればクエストを受注できるようになる。
そしてデメリットだが、Bランクパーティ以上になると有事の際に強制的にギルドに拘束されてしまう事だ。ギルドは基本あらゆる国から独立している。
しかし貴族たちがわが身可愛さに貴族を守れとギルドに対して命令してくることがほとんどだ。ギルドも国や貴族の圧力をずっと撥ね返す事はできないだろう。だから目の前の死にそうな平民より遠い安全な貴族を守ることもある。
それが嫌で俺とマリアはBランクパーティにはならないんだ。俺たちの最優先は家族だからな。もしもの時になったら俺は目の前の死にそうな誰よりもマリアやアイク、マルスをとる! 何と思われたっていいんだ。ここまでで何かあるか?」
思いのほか重い話だったので、俺とアイクは無言で頷く。
それを見たジークはまた話を続けた。
「魔物が出るのは迷宮だけではない。街の外にもたくさんいる。そして最近増えているんだ。お前たちも知っているかもしれないが、先日この地を治めるカーメル伯爵自ら俺ら夫婦のもとに来て迷宮の魔物の間引きをしてくれと頭を下げに来た。
俺らだってこの街の安全を守りたいから、マルスたちの事が不安だったが迷宮に潜った。ただそれは俺とマリアだけでやろうと思っていた。
しかし今日マルスの神聖魔法を見て思った。アイクやマルスにも手伝ってもらおうと。本来であればアイクが12歳になった後、街の外に一緒に行って魔物の狩りをしようとしていたんだがな。
いきなり迷宮に潜るとは言わないから安心してくれ。マルスが鑑定の儀が終わるまでは街の外の魔物の間引きを中心としたクエストしか受注しないつもりだ」
俺とアイクはまだ無言だった。
ただ真剣に話すジークの言葉をしっかりと聞いている。
「また急に外に出て魔物と戦うのも酷なので二人には剣術の先生を雇う。期間は1年間だ。1年後にアイクとマルスの成長をみてから判断しようと思う。あと基本的にマルスには戦闘に参加はさせない。神聖魔法でみんなをサポートしてほしいんだ。剣術の練習はいざという時の自衛のためだ。いいかな?」
「「わかりました」」
俺とアイクは口を揃えて言う。
しかし俺にもどうしても聞いておきたいことがあった。
「お父様、お母様、今日の怪我はどうしたのですか?
もしよろしければ教えて頂けませんか?」
するとジークが答えようとしたのだが今まで沈黙していたマリアがこう言った。
「母さんのせいなの。いつものように迷宮の1階層の魔物は避けて2階層の魔物と戦っていたんだけど、気分が悪くなって魔法を唱えるタイミングが遅れてしまったの。私たちのパーティ名に【盾】という文字が入っているように防御主体の戦闘スタイルなの。
詳しく言うと父さんは
「
「そうね。今まではポーション持っていたんだけどね。でもポーションはあくまでも薬だからすぐに回復はしないのよ。あくまでも回復促進の薬ね」
「わかりました」
そう俺が言うとジークがとても重要な事を言った。
「もう一つお前たちに言うことがある。お前たちに弟か妹ができる」
「「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」」
めっちゃびっくりした。
まぁ一日も子作りを休んでないから当然か。
妊娠していたから迷宮で体調崩して今回の怪我につながったのか……
「もう無理はしないでくださいね」
俺がそういうとマリアが
「ええ。明日からは家であなたたちと過ごすわ」
3児の母になるとは思えない顔で微笑んだ。
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