第5話 初めての魔法

 翌日ジークは初級風魔法の魔導書と初級火魔法の魔導書を買ってきた。


 どうやら神聖魔法の魔導書は需要がないので店に売ってなかったらしい。


 また魔導書はとても高価なもので、もし売っていたとしても神聖魔法の魔導書は手が出ないとの事だ。


 初級の2つですら一冊金貨10枚するという。


 普通の準男爵家であれば絶対に買えない値段らしいが、幸いなことにブライアント家は「まだ」お金があった。


 しかし2つの魔導書を買ったせいでかなり家庭の財政が逼迫したらしい。


 ちなみに金貨1枚で日本円にして10万円くらい。


 二冊で200万相当だ。


 庭に移動してそれぞれが魔法の練習に取り掛かる。


 期待されているのはわかっているので、俺も必死になって風魔法を覚える。


 アイクも魔導書の価値を知っているのか火魔法を覚えようと頑張っている。


 ちなみにアイクも昨日魔力の循環まで出来るようになったらしい。


 二人の問題は読めない字が多いことだ。


 なので俺にはマリアがアイクにはジークがつきっきりで本の内容を教えてくれている。


 丹田から手先に魔力を伝えて魔力がたまったらウィンドと唱える。


 少しずつだかコツは掴めている気がする。


 なぜなら最初はMPが減っていなかったが、今はウィンドと唱えるたびにMPが1ずつ減っているからだ。


 そして何十回か試したときにそれは起こった。


「ウィンド」


 すると俺の右手から魔力が放出されて一陣の風を巻き起こす。


 すぐに風は収まったが魔法が発動した。


 消費MPは5だった。


 それを見た3人は喜んでくれた。


 アイクからは俺もやってやると強い意志が感じられた。


 そして数日後に何度も魔力欠乏症になりながらアイクもファイアが使えるようになっていた。



 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


 1年後、俺は2歳、アイクは5歳となっていた。


 もちろん俺はずっと魔法の練習を欠かすことは無かった。


 走りながら魔法が使えるようになった時にはジークとマリアが呆れていた。


 この年で走れるという事でも凄いのに何かをしながら魔法を放つことはできないらしい。


 あと剣術強化の為に俺は庭で棒切れを振り回すようになった。


 まだまだアイクよりは全然弱いが、剣術も本格的に習いたいと思っている。


 そんな俺の2歳のステータスはこんな感じだ。


【名前】マルス・ブライアント

【称号】-

【身分】人族・平民

【状態】良好

【年齢】2歳

【レベル】0

【HP】2/2

【MP】640/640

【筋力】2

【敏捷】2

【魔力】5

【器用】3

【耐久】2

【運】30

【固有能力】天賦(LvMAX)

【固有能力】天眼(Lv5)

【固有能力】雷魔法(Lv0/S)

【特殊能力】剣術(Lv0/B)

【特殊能力】風魔法(Lv4/A)

【特殊能力】神聖魔法(Lv0/B)


 ずっと風魔法の練習をしているので風魔法だけレベルが上がった。


 中級魔法のウィンドカッターを使えるようになったが街中でぶっ放すような魔法ではないのでひたすらウィンドを使っているのだが、消費MPが5ではなかなか魔力が枯渇しない。


 ちなみに中級魔法を使えると魔術団に入れるらしい。騎士団の魔術師バージョンだ。


 アイクも順調に育っている。


【名前】アイク・ブライアント

【称号】-

【身分】人族・平民

【状態】良好

【年齢】5歳

【レベル】0

【HP】5/5

【MP】40/40

【筋力】3

【敏捷】4

【魔力】1

【器用】2

【耐久】2

【運】10

【特殊能力】剣術(Lv1/C)

【特殊能力】槍術(Lv0/B)

【特殊能力】火魔法(Lv1/C)


 アイクは火魔法を覚えた後剣術を重点的に習っている。


 ジークとマリアはアイクが5歳になってしっかりしてきたので、俺をアイクに任せて迷宮に潜ったりしている。


 というのも最近やたら魔物が増えてきたので、この地を治めるカーメル伯爵自らジークとマリアに迷宮の魔物の討伐を依頼してきたらしい。


 カーメル伯爵自身も騎士団と魔術団を所有しているのだが、騎士団は主に騎馬に乗っての戦いとなり、迷宮に潜るのには向かない。


 また魔術団はそもそも魔術師の人数が少なく、そんな貴重な戦力を迷宮に送ることはできないらしい。


 ジークとマリアのステータスはこうなっている


【名前】ジーク・ブライアント

【称号】-

【身分】人族・ブライアント準男爵家当主

【状態】良好

【年齢】25歳

【レベル】21

【HP】48/48

【MP】70/70

【筋力】10

【敏捷】15

【魔力】30

【器用】14

【耐久】16

【運】10

【特殊能力】短剣術(Lv2/D)

【特殊能力】土魔法(Lv5/C)


【名前】マリア・ブライアント

【称号】-

【身分】人族・ブライアント準男爵家第一夫人

【状態】良好

【年齢】24歳

【レベル】19

【HP】40/40

【MP】62/62

【筋力】9

【敏捷】14

【魔力】29

【器用】16

【耐久】12

【運】10

【特殊能力】短剣術(Lv2/D)

【特殊能力】水魔法(Lv5/C)


 まぁ二人とも典型的な魔術師だから筋力が低いのは仕方ない。


 それにしてもMPってこんなに低いんだなぁ。


 迷宮での戦い方を見てみたい。


 今日もこれからジークとマリア二人で迷宮に潜って魔物の間引きをしてくるらしい。


 まぁ俺らがいるから低層階しか行かないらしいが。


 二人が迷宮に行くと俺とアイクはいつものように剣術の練習を庭でしていた。


 まぁ2歳児の俺が棒を振り回していても練習とは見えないであろうが、俺は密かにある練習をしていた。


 それは体に風を纏わせて身体能力を上げるという事だ。


 剣術を練習し始めてからずっとやっているがいまだに出来ない。


 しかし出来ないからと言って諦める俺ではない。


 最低でも10年はやり続けるつもりだ。


 そしていつものように剣術の練習を3時間した後に昼ご飯を食べて、昼ご飯を食べたらMP0になるまで風魔法を使い続けて寝る。


 そして3時間ほど寝たらまた外で剣術の練習をしている俺。


 アイクはというと午前中は剣術と火魔法の練習をしていて、昼からは槍術の練習をしている。


 ジークとマリアは俺とアイクの為に木剣と木槍を買ってきてくれていた。


 午前中アイクが木剣を使うときに俺は棒切れを使い、午後にアイクが木槍を使うときに俺は木剣を使わせてもらう。


 アイクが武闘派なのでアイクがしっかりしたものを使ったほうがいいし、何よりもいくら木剣とはいえ2歳児の俺に木剣を扱うのはまだまだ早い。


 だから体に風を纏わせて自在に木剣を操りたいという気持ちがある。


 そして17時頃になるとジークとマリアがとても興奮した様子で帰ってきた。

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