地元の高校に通う鬼塚香澄は月鳴神社でのボランティア活動中、まるで面識のない隣のクラスの男子、鷺山悠人と共に視てしまう。ほどなくここで開催される祭で、それぞれが死ぬ未来を。伝承によれば、示された未来の一方を選べばもう一方は回避できる。そして悠人はあっさり、自分が死ぬことを選んだ。理由は「香澄さんのことが好きだからです」。
と、衝撃告白をかました悠人くん、言葉の通りひたむきに自分の死ぬ未来へ向かいます。なぜ? どうして? そもそも悠人くんって何者? 謎が積み重ねられ、さらにその謎がまた謎を呼ぶ展開、香澄さんは当然翻弄されるのです。
ともすれば冗長になりがちな物語構成ですが、ふたりの未来が確定するまでのタイムリミットが置かれていることで、たまらない緊迫感が引き絞られているのですよ。さらには「絶対選ばなければならない」強制が、香澄さんと悠人くんに互いの心へ踏み込ませる原動力になっているのもすばらしい!
最高のカタルシスが待つ謎謎謎な16日間、一度開けば一気に読み切ってしまうこと間違いなしです!
(新作紹介 カクヨム金のたまご/文=高橋 剛)