8.幽霊論<9月14日>
昨日は家に帰ると疲れて眠ってしまい、作業はまったく進まなかった。結局二枚目は仕上げられないまま。手伝ってもらった鷺山に申し訳ない気分だ。
放課後。守り隊が集まるいつもの教室に向かうと、鷺山や藤野さん、古手川さんに篠原といった面々が待っていた。
「鬼塚さん、ポスター作ったんだ?」
私がポスターを手にしていたことから気づいたらしく、藤野さんが言った。
「言ってくれれば二年B組のみんなで作ったのに。一人で作ったの?」
「……えっと、」
名前を出していいものかと悩み鷺山の方を見る。彼は素知らぬ顔をして本を読んでいて、会話に加わる気はなさそうだ。
「鷺山が手伝ってくれた」
私が答えると、藤野さんや古手川さんの視線が鷺山に集う。篠原も振り返って後ろの席に座る彼を観察し、それからしみじみと言った。
「鷺山と鬼塚って仲いいのかよ。 意外な組み合わせじゃん」
「それなりにね」
返事をしたのは私だけで鷺山は何も言わない。本から目を離すこともしなかった。それでよく社交的だと言ったものだ。
「ポスターのテーマ何にしたの?」
「防犯」
すると三人がこちらに注目した。鷺山と組んで作ったことよりも驚いた顔をしている。
「お祭りなのに?」
「防犯って……あんまり聞いたことないテーマだね」
藤野さんは首を傾げているし、古手川さんは気を遣って答えているようだった。二人にとって防犯ポスターはピンと来なかったらしい。
「定番はやっぱアレだろ。ゴミ問題」
「毎年その問題で頭を抱えてるからねー。うちの家の前ゴミすっごいし」
「おじいちゃんが町内会にいた時も、ゴミ拾いが大変だって言ってたな」
どうも三人は防犯よりゴミ問題の方を気にしているらしい。冷えた反応から『防犯ポスターなんていらない』と言われているようで複雑な気分になった。
「でも。お祭りだから、気が緩んで泥棒が入るって、あり得ると思うけど」
私が言うと再び三人がこちらを見る。そして一斉に笑った。
「ないない」
「大丈夫だろ。人たくさんいるんだし、わざわざ祭りの日に入る泥棒なんていねーよ」
私と鷺山はこれから起きる事件を知っている。あっさりと「ない」と否定している藤野さんの笑顔に腹が立った。そうやって気を緩めているから、あなたの家に泥棒が入る。これから怪我だってするのに。
私は唇を噛んだ。このポスターはおかしなものじゃない。なのに軽く扱われていることが許せなかった。未来を知っているからだけじゃなくて、私も鷺山も一生懸命作ったものだから。
これから起こる出来事を話せば、三人はこのポスターの重要性を理解するかもしれない。けれど私が話すものを彼らは信じてくれるだろうか。いや、信じないだろう。
三人はゴミ問題について盛り上がり、私が口を挟む隙はない。ポスターの端を掴んだ指に自然と力がこもっていた。
「あの。藤野先輩と篠原先輩、」
そうしているうちに一年生の子が二人、こちらにやってきた。藤野さんも篠原も面識があるらしく親しげな様子で返事している。
「誰?」
「部活の後輩! うちと篠原、剣道部でしょ?」
「ああ。じゃあこの子たちも剣道部なんだ」
私が言うと、一年生たちは小さく頭を下げて挨拶した。
そして一年生たちは藤野さんと篠原にプリントを渡す。ピンクのA4用紙上部に大きな文字で『肝試し』と書いてあった。
「肝試し? 兎ヶ丘小学校でやるの?」
「有志でやるんです。私も誘われました。よかったら先輩たちもきませんか?」
兎ヶ丘小学校で肝試し。嫌な予感がした。
「私にも見せて」
声かけると篠原がプリントを貸してくれた。
今月の二十日夜に兎ヶ丘小学校近くで肝試しをやるらしい。出発場所は小学校裏。プリント下部には、幽霊話を知らない人のため、噂話詳細まで書いてある。
「夜は小学校の校門閉まってるよね。入れるの?」
「なんとかするって主催の子が言ってました。あ、ナイショですけど。先生に言わないでくださいね」
藤野さんの質問に対し、一年生は軽く言ってのけた。
それって不法侵入じゃないか。そこまでして肝試しをしたいのか。幽霊がいるって本当にみんな信じているのか。
馬鹿らしい。
「幽霊はいないよ」
声をあげると、全員がこちらを見た。場もしんと静かになる。
一年生は負けじとこちらを睨み返して言った。
「みんな、幽霊がいるって言ってますよ」
「いないって。じゃあ、あんたは兎ヶ丘小学校の幽霊を見たことがあるの?」
「私は見ていません。でも見た人がいるから、噂が広まっているんだと思います」
「噂の元は? 誰が幽霊を見たの? 幽霊見た人の名前は言える?」
言葉が荒いのは、私の苛立ちが混ざっているから。険悪に傾きつつある空気を察したのか、他の生徒たちも息を潜めてこちらに注視していた。知らない人からは、二年と一年が言い争っているように見えるのかもしれない。
一年生は何も言い返せずうつむいていた。板挟みとなっている藤野さんや篠原が困ったように私と一年生を交互に眺めている。それでも止める気はない。
「幽霊を見ていないのなら。誰が見たのか名前も言えないのなら。噂を広めないで」
簡単に信じてもらえるなんて思っていない。今までそうだったから。
例に漏れず一年生も反抗的に言い返してきた。
「じゃあ……先輩は、兎ヶ丘小学校に幽霊はいないって証明できますか?」
教室中の視線が私に集まる。一年生だけじゃない。藤野さんら三人も、そして鷺山も。みんなが、私の返答を待っていた。
「会ったことがあるから」
「会った、って幽霊にですか?」
「噂されている子に会ったことがある。でも幽霊じゃない。生きてた」
「それ、本当に生きてたんですか?」
「生きてた」
「先輩の間違いじゃないですか? それ、幽霊だったのかもしれませんよ」
誰かの息を呑む音が聞こえた。それほど周りは静かで、私たちの苛立ちだけが浮いている。
「本当に生きてたっていうなら連れてきてくださいよ。その子の名前は? 年齢は? 会ったことあるなら答えられますよね?」
頭に血がのぼっていたはずなのに熱いと思わない。冷えている。じわじわと。
これに似た場面を、今までに何度も経験した。噂話を否定するたび『名前を言え』『写真を見せろ』『会わせて』と証拠を要求される。それができなければ、みんなが信じる噂を否定する変な人として扱われるのだ。
やはり他人に期待してはいけない。みんなが私を信じないのなら、私だって誰も信じない。
「ほ、ほら! ケンカはやめよ? 大野ちゃんも鬼塚さんもさー」
「だよな。幽霊の話は後にしようぜ」
藤野さんと篠原が割って入る。古手川さんはあたふたとしているだけで何も言わなかった。
この三人だって。こうして間に入っているけれど、心の中では噂話を信じている。こうやって否定する私のことを変なやつだと嗤っているはずだ。
考えれば考えるほどに腹が立つ。そしてついに、立ち上がっていた。
「幽霊なんていない」
がたん、と椅子の音が響く。
これ以上、話していたって無駄だ。私は鞄とポスターをひっつかんで、教室を出て行った。古手川さんが私の名前を呼んでいたけれど振り返る気はなかった。
廊下をしばらく歩くと、慌ただしい足音が追いかけてきた。
「香澄さん」
私をそう呼ぶのは一人だけ。振り返るとやはり鷺山だった。走ってきたらしく息を切らしているけれど、表情は涼しげだ。
「教室に戻らないんですか?」
「帰る。気分悪いから」
「わかりました」
教室に戻れと注意したり、言い争いの件で慰めてくれるのかと思った。しかし鷺山はそんな気がないらしい。
「ではポスターは僕が提出しておきます」
ポスターを渡せ、という意味で手を差し出している。握りしめたポスターが、急にずしりと重たくなった気がした。
「いいよ。無駄だと思うから」
事件が起きなければいいと願って作ったけれど、みんな冷ややかな反応をするのだろう。藤野さんたちと同じように。私がこれから起きる出来事を明かしたとしても、誰が私を信じてくれるのか。
だからポスターなんていらないと思った。期待しない。したくない。
「僕は、提出した方がいいと思います」
「でも私のことを誰も信じない。ポスターだって、お祭りに防犯なんてって笑われるに決まってる」
「提出しなければわかりません。ポスターを出しましょう」
「やだ」
珍しく鷺山の表情に焦りが浮かんだ。ポスターを奪おうとこちらに手を伸ばす。
私は意地になって渡そうとしなかった。さっきの言い争いで生じた怒りが、まだくすぶっている。
「提出しない。何も信じない」
「香澄さん!」
「ポスターなんてもういいの!」
鷺山と私と。双方が引っ張りあえば、結末はわかっていて。
私たちの間に、びり、と情けない音が響く。
「あ……」
ポスターは破れて、黄色で塗った標語部分は途中で千切れている。
そういえばこの部分は鷺山が塗っていたのだ。色の提案も、文字のバランスも鷺山から意見をもらって。そのことを思い出すと同時に、鷺山が呟いた。
「破れましたね」
長い前髪が揺れている。悲痛に歪んだ顔は、彼にしては珍しい感情の発露。あれほど感情のわかりづらい鷺山が、悲しそうにしていた。
鷺山のあんな表情を知らなくて、その表情を引きだした理由が私にあることも切なくて。何も言えず、手中に残るポスターの切れ端をぎゅっと握りしめた。
「僕、戻ります」
意地になったことを後悔しても、壊れたものは戻らない。
気分は最悪だった。苛立ちはまだ少し残っているし、鷺山を傷つけたことの後悔もある。教室に戻らず学校を出たけれど、まっすぐ家に帰る気にはなれなかった。
寄り道として選んだのは小学校だった。放課後の校庭は小学生たちが遊んでいる。端にある飼育小屋の方は人気がなく、私は飼育小屋近くのベンチに腰掛けた。
今頃、守り隊の打ち合わせは始まって、ポスターも決まっただろう。頭が冷えていくにつれ、鷺山と一緒に作ったことを思い出す。表には出さないけれど彼は真剣に考えてくれていた。
提出しないと言い出した私は身勝手だ。鷺山の努力を、厚意を、踏みにじった。
閉鎖された飼育小屋は閑散としていて、昔は兎や烏骨鶏が走り回っていた庭も雑草が伸び放題だ。私が飼育委員をしていた頃は、飼育小屋の前を小学生たちが通っていたけれど、今はない。
飼育小屋を眺めてため息をつき、もう少し経ったら帰ろうなんて考えていた時だ。
「鬼塚さん!」
声がした方を見れば、そこにいたのは藤野さんと古手川さんだった。藤野さんは家が旧道にあるから、帰り道でここを通るのは想像つくけれど。まさか古手川さんも一緒なんて。
驚く私のところに二人は駆け寄ってくる。打ち合わせのサボりを怒られるかと思っていたけれどそんな様子はなく。藤野さんは申し訳なさそうに頭を下げた。
「後輩がひどいこと言って、ごめんね」
「それは藤野さんが謝ることじゃない。言い争いのことなら気にしてないから。ああいうのは慣れてる」
古手川さんは私の隣に腰掛け、藤野さんもベンチに鞄を置いた。
「この小学校、懐かしい。四年二組ってあの教室だったよね」
「忘れた」
「鬼塚さんはクールだよねー」
苦笑した後、藤野さんは飼育小屋の方へと歩いて行く。つま先立ちをして中を覗きこもうとしていた。
「何してるの?」
「飼育小屋の中、どうなってるのかなと思って。さっき鬼塚さんの話聞いてたら懐かしくなっちゃった」
中を見たところで兎も烏骨鶏もいないのに。隣の古手川さんと一緒に藤野さんの様子を見ていた。
少し経ったところで古手川さんがおずおずと口を開いた。
「さっきの幽霊話だけど……私も幽霊はいないと思う。ううん、幽霊なんていてほしくない」
彼女は切なげな顔をして、飼育小屋の方を眺めていた。
「どうして、そう思ったの?」
「飼育小屋とか兎ヶ丘小学校、っていう理由じゃなくて、幽霊が嫌なだけなの。そもそもどうやって幽霊が出来るのかわからないでしょう?」
「まあ……そうだね」
「人が死んだら全員幽霊になるのかもしれないし、心残りや後悔がある人だけ幽霊になるのかもしれない。そのどちらにしても、私は……幽霊なんて嫌だ」
古手川さんは、スカートの上に乗せた手を固く握りしめた。力が入っているのが隣の私にも伝わる。その反応を見るに、幽霊が怖いというより、何らかの事情があって嫌っているようだった。
「何かあったの?」
「去年ね、大好きだったおじいちゃんが致死性不整脈で亡くなったの。元気に明日のことを話していたのに突然倒れてそのまま」
「……うん」
「おじいちゃんは、私が高校を卒業する日を楽しみにしていて、数ヶ月後には姉の結婚式もあった。町内会の役員をしていて、明日は役員会があるって言ってた。それが、こんなことになるなんて信じられなかった」
どんな言葉をかければいいのか悩み、口を噤んだ。去年と言っていたけれど、悲しみはまだ抜けていないのだろう。悲しそうにまぶたを伏せ、古手川さんが続ける。
「病院で、すぐに適切な手当てをしていたら助かったかもしれないって言われたの。だからおじいちゃんは心残りや後悔がたくさんあるかもしれない。パニックになっていたおばあちゃんや私たちを恨んでいるかもしれない」
そこで古手川さんはため息をついた。後悔を吐き出すように。
「だから……幽霊なんて認めたくないの。おじいちゃんがどこかで彷徨っているかもしれないって考えたら前を向けなくなる」
「……古手川さん」
「長い話になってごめんね。私も幽霊はいないって信じてる。あの噂も誰が見たのかわからないから」
その話を聞いていたのか藤野さんが戻ってくる。
「今思えばさー、鬼塚さんって飼育委員やってたでしょ? 飼育委員って人気なくていつも余り物ジャンケンだったのに、率先して手をあげてたじゃん」
あの頃は、飼育小屋の彼女に再会したい一心で飼育委員を続けていたから、その時のことを覚えていたのだろう。
「飼育委員やってた鬼塚さんが言うんだから、幽霊の話って誰かの作り話なんじゃない? 実は幽霊なんていないオチってやつ」
「そうね。出席番号ゼロ番なんておかしいもの」
「小学校に六年通ってもトイレの花子さんに会ったことないし、ベートベンの目だって光らなかったし。誰が言い出したのかわからないウワサなんて信じるだけ無駄だよ」
古手川さんと藤野さんが頷いて、それから私を見る。
「私、鬼塚さんの話を信じる。幽霊なんていない。鬼塚さんが出会ったのは、生きている友達だった」
「うんうん。幽霊とかそういう暗い話はやめて、鬼塚さんも古手川ちゃんも明るくいこ!」
私は、二人の話を聞きながら呆然としていた。
二人が差し伸べてくれる優しさは本物なのだろうか。何度も裏切られてきたから怖くなる。
躊躇って俯く私だったけれど、藤野さんは明るい声で続ける。
「ってかさー。滅多に意見言わない鬼塚さんが、あんな大声だして『幽霊はいない』なんて否定したんだから本当にいないと思うんだよねぇ」
「確かに鬼塚さんがあんな風に言うのは珍しいね」
「あと珍しいと言えば、あいつ! 隣のクラスの……えーっと鷺沼だっけ?」
「沼じゃなくて山。鷺山くんだよ」
「そうそう」
「……鷺山が何かしたの?」
意外なところから現れた鷺山の話題に、つい反応してしまう。顔をあげた私に気づいて、藤野さんがにたりと笑った。
「お。アヤシイ反応じゃん」
「違う違う。ただの知り合い」
「えー。詳しく聞かせてもらいたいねぇ」
頑なに首を振るけれど、藤野さんはにやにやと口元を緩めてばかり。みかねた古手川さんが話してくれた。
「今日の守り隊打ち合わせで、ポスターを提出することになっていたでしょう? その時に鷺山くんが言ったの」
「あいつが? 何て?」
「いいポスターを作ってくるから提出期限を延ばしてほしいって、ハナ先生に頭を下げていたよ」
「あれびっくりしたよねー。ハナ先生も期限延長決めちゃうぐらい珍しいことでしょ。篠原なんて『鷺山って喋れるんだ』なんて驚いてたよ」
篠原のちょっと失礼な発言はともかく。彼がそんな行動を取っていたことに私も驚いていた。逃げるように制服のポケットへ手を入れれば、千切れたポスターがある。彼と一緒に作った、大事なポスターだったもの。
期限を延ばす理由はきっと。もう一度ポスターを作るため。私のためかもしれない。
「私、鷺山に謝らなきゃ」
ぽつりと呟くと二人の視線がこちらに向いた。
「何かあった?」
「二人で作ったポスターを破ってしまったの。明日、鷺山に謝る」
「……二人がどんな関係かわからないけれど、仲直りできるといいね」
私は頷いた。あれほど鬱々していた気持ちが晴れていく。明日、ちゃんと鷺山と話そう。私の話を信じると言ってくれた鷺山を、私も信じる。だから向き合って話す。
「しかし鬼塚さんと鷺山かー……意外な組み合わせ」
「そう? 私はお似合いだと思うけれど」
「言っちゃ悪いけど鷺山ってなんか暗いじゃん。飼育小屋の幽霊話よりも鷺山の方が幽霊っぽい」
そんなまさか、と古手川さんが笑う。けれど藤野さんは話を続けた。
「うち、旧道の方に家があるから、ランニングでここを通るんだけど。ちょうどこの、飼育小屋のあたりで鷺山を見たんだよ」
「それっていつ?」
「昨日の夕方」
私は眉をひそめた。
兎ヶ丘小学校は、日曜日は夕方まで門を開放している。このグラウンドを近所のジュニアサッカークラブやリトルリーグで朝から夕方まで使うためだ。近所の小学生たちもそれを知っているから遊具で遊びにやってくる。
しかしどうして鷺山が兎ヶ丘小学校にいたのか。これは考えても理由が浮かばなかった。
古手川さんも同じ疑問を抱いたらしく、戸惑いの声をこぼす。
「鷺山くんって、他県から兎ヶ丘高校に入った人よね」
「らしいよ。別に偏差値が高いわけでも、特定の部活に入るわけでもないのに。なんだってわざわざ兎ヶ丘にきたんだろうねー」
「鬼塚さんは何か聞いてる?」
話を振られたけれど、私は何も知らない。鷺山のことを知っているようであまり知らなかったのだ。それは置いてけぼりにされたような、疎外感のような気持ち。
そういえば彼に告白されたけれど、どうして私のことを好きになったのかは知らない。他県から兎ヶ丘高校にやってきた理由もわからない。
私は表面だけしか鷺山のことを知らない。その事実が、急に私と彼を遠ざけたような気がして、それが寂しいと感じてしまった。この感情に、あいつのことが好きだの友達だの格好いい名称はないけれど、ただ寂しい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます