第19話 “何か”

「え」

なんだろう……この感じ….人体模型と同じ感じを感じる………

私の肌が急激に鳥肌になっていく……

「………つんちゃん、俺の後ろにいろ。

やな感じがする。」

そう言う、千隼君の表情はいつもの穏やかで、にこやかな笑顔はなくなり、真顔になっている…

田中さんの方もみると顔がやけに真剣な表情だ。


辺りはピリついた雰囲気が流れる。

静まり返った女子トイレ……

電気がまた、一瞬消えた途端…

“何か”が女子トイレの扉を勢いよく開けて来た…

その、“何か”は生憎今は、暗くて見えない…

まるで“心霊現象”のようだ…いや、この場に霊がいる時点で心霊現象か……

その“何か”は私達の所へ勢いよく、つっこんできた。

女子トイレは最悪なことにどこも、逃げるスペースもなく、隠れるスペースもない…

これは、避けることができない…

何かしようと思っても、私は非力である為余計邪魔になる、かと言って千隼君のように武器はない……どうしよう…

千隼君が鉄パイプを用意し打ち返そうとすると横から

「よっと……」

田中さんが“何か”を蹴った。

ドゴッ


……鈍い音がした。

その“何か”は女子トイレのドアから吹っ飛んで行った。

あの、細い体からいったいどうやったら、あんな力が出るのだろうか……

そもそも、掛け声?みたいなものが軽いような気が…

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